官能小説

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ぬるま湯

 統一会の終わったあと、さっぱりした気分の豊作は、会場の後片付けに加わりながら考えた。
 何を積極的にするでもなく、自分は会に参加してきた。祈れば晴れ晴れした心に、取り敢えずはなる。
 経典の類も自分は読まないし、教えに適った生活もしているとは言えない。会合や行事があれば人が集まり、自然と自分もそこにいた。
 友人なのか何なのかよく分からないような知り合いが沢山いて、外にいれば集会が夢の世界のようにも思えるし、逆に集会にいる時は、外の世界など劇場であるかのような気さえする。
 ここから離れたら自分は生きていけるのだろうか。しかし、ここはぬるま湯であり、まさに独立できていない人間が庇護される場なのではないかと、批判的に捉えることもする。
 確かに居心地は悪くないし、離れる気など毛頭ない。
 将来に困っている? 自分はまだ、本当の絶望を知らないのだと豊作は思った。
 今日は今からコンビニでアルバイトが九時まである。受験のための資金は、貯まりつつあった。目的があるのは良いことだと豊作は思う。アルバイトも、自分が人の役に立っている感覚があって、悪くなかった。
 けれども、上司に叱られたり、客からたまにクレームを受けたりすると、途端に世の中が嫌になることを豊作は自覚していた。その度に、責任を引き受ける度量のない自分と、無能力さと、将来の不安とを突き付けられる思いがして、隠遁でもしたくなるのである。そして、アーシュラに性的な慰めを求めるのだった。

更新日:2021-03-26 12:13:55

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