官能小説

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自我の目覚め

「あんた、可愛いかもしれないけど、臭いのよね。お風呂とかちゃんと入ってるの?」
 席替えで隣の席になった女子が休み時間に突如、激昂してアーシュラに言い放った。仲が良くも悪くもない、率直に言えば関心の無い生徒だったので、言われたアーシュラは面食らった。
「あたしも思った。それ、ワキガだよ。ほんと臭うよ。自分で分からないの、腋の下、嗅いでみな。」
 後ろの席の女子も合わせて言い出した。
 確かに、夏の間に体は大きくなり、それと共に体に変化があったのをアーシュラは自分で知っていた。しかしそれは、体型や発毛についてのことであり、体臭などまるで気にしたことがなかった。潔癖症を自認するアーシュラには、思いもよらないことだった。
 後ろの女子は、横で騒いでいた男子の服を引っ張ると
「浩、あんた、ちょっと、この子の腋の下、嗅がせてもらいな。」
 ぐいと押されてバランスを崩した男子は、アーシュラの上に倒れ掛かったが、慌ててそれを防ごうとした手が、アーシュラの、ブラジャー無しの乳房を押さえつけた。
「痛いっ!」
 アーシュラが男子の手を払い退けたので、男子は結局、胸の辺りに顔を打ち付けてしまった。
「おっぱい、痛いってば!」
 兄以外の男に胸を触られるのは初めてだとしても、そういうことに慣れていたアーシュラは、男子の頭を抱きしめてみた。
 男子は真っ赤な顔になった。
「おい、離せ!」
「どう、臭い?」
「臭い、臭い!」
「おっぱいが痛いから暴れないで。」
「ええ? じゃあ離せよ!」
 ふと、後ろの女子が大きく叫ぶように
「いやだ! 浩、あんた勃起してんの? それ、勃起でしょ? 初めて見た! いやらしい!」
 浩はついにアーシュラを振り解いて、教室の外まで走っていった。

更新日:2021-03-25 12:32:27

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