官能小説

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父の家

 翌日、目が覚めた豊作は、隣に寝乱れている妹の唇に当ててまず射精し、朝の勃起を収めてから、シャワーを浴びると、いつになく小綺麗な服装に着替え、父の元に出かける支度をした。
「ちょっと行ってくるからな。」
 鼻まで精液に濡れた妹は、寝返って可愛らしい肛門を豊作に向けたまま、返事をすることはおろか、された事に気付きさえしなかった。
 父の相方とどう接するか、これに豊作は会うたび迷うのだった。自分より五つほど歳下の女をお姉さんと呼ぶのもおかしく、名前で呼ぶほかないのだが、父の妻であることを意識していなければ、馴れ馴れしくなりすぎる嫌いがあった。もし自分の親権が父にあったなら、彼女が「お母さん」になっていた可能性のあることを考えると、何か倒錯したものをそこに豊作は感じた。
 不安な未来。何一つ、確たる安心を豊作は見出せなかった。また、そういう安心を生み出す胆力も、自分にあるとは思えなかった。
「まあ、豊作さん、久しぶり。入って。」
「麗子さん、お父さん、います?」
「草むしりくらいしかする事ないんだから。」
 思春期の妹を女として知ったばかりの豊作は、麗子の成熟した若さに、落ち着いた瑞々しさを感じて驚いた。これまでついぞ意識しなかったことだった。父はこの女をどうやって抱いているのだろう。
 応接間は祭壇のある祈祷部屋でもあった。父の家は大きく、部屋も広い。初秋らしい風が吹き抜けて爽やかだった。
「いま呼んでくるから、待ってて。」
 座卓に茶を出してから、麗子は作造を呼びに行った。いつも、話すときは豊作の方が敬語を遣っている。
 大きく設えられた祭壇の形は、どこでも変わらない。豊作は、それを見ると、自分の家に居るかのような錯覚と気楽さを覚えた。

更新日:2021-03-24 19:21:52

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