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ベンチで

時は過ぎ、月日は2月の下旬になった
あれから爽平とはあまり連絡を取っていない
もしかしてデータを消されたかもしれない

そのほかは何も進展がないまま
いつものところで莉愛と梨子を待つ
もうすぐしたら3月になる
そのせいか少し日差しが温かい
気持ちが良いなと思い、ベンチに1人座っていると
「凜ちゃんだよね?」
自分の名前を呼ばれる
誰?
声をする後ろに顔を向ける
「萩華ちゃんだよね?」
後ろにいたのは彼女さんだった
「なんであたしのこと知ってるんですか?」
「え?爽ちゃんがね、凜ちゃん凜ちゃん言ってたから。あと、いつだったっけ?大学ですれ違わなかった?お友達が凜っていっているのが聞こえたから」
ふわっと靡く髪に可愛い笑顔。女の子そのものだった
「そうだったんですか…」
少し苦笑い
「あたしのことは…?」
「前にデパートで見たのと、大学ですれ違ったときに」
作り笑い
ほら。またいい人ぶり
「お互い知ってたんだ」
また可愛い笑顔に少し苛立ちを覚える
こーいうのを嫉妬っていうのだけれど

更新日:2009-03-01 13:34:46

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