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4 お疲れ様
「よし、今日はここまで!」
先生がそう言ったのは午後5時。お昼の休憩はあったけれど、およそ8時間近くにわたる今日の訓練が終わった。
「ふへ~ほへ~もう疲れたよ~」
ちーちゃんはそう呟きながらフラフラになっている。
「デプラス、エンボル……コルアコル……アドル……」
牧さんは赤魔導士のスキル名をずっと呟いている。二人ともかなりお疲れのようだ。
「うふふ、疲れてる牧川、かわいい。うふふ……」
そんな牧さんをスマホで連写しているナモさん。前から牧さんや他の人にキツイことを言われるのがご褒美だと言っていて、Mなのかなと思っていたけど、どうやらSの傾向もあるみたい。
まあ、こうして、冷静に他の人の様子を見れているということは、私にはまだ余力があるということなのだろう。
「ぷぅこ、お疲れ様!」
ああ、私よりも元気な子がいた。
「うん、お疲れ、あやか」
「いや~先生の訓練、今日も大変だったね~」
大きく背伸びしながら言うあやかを見ていると、疲れていた気持ちも少し軽くなった気がした。出会った時から何も変わらない。あやかはいつだって私に元気をくれる。
「でも、ダメージを受けたみんなに差し込みでヒールをする感覚は何となく掴んだから、あとはちーちゃんたちとタイミングをうまく合わせるだけだね!」
「あやかさんもぷぅこさんも飲み込みが早いからすぐに慣れると思うよ。私も頑張らないと!」
ちーちゃんが真剣な表情になって自分に活を入れる。私やあやかに合わせるために学者へ転職してくれて、苦労をかけたなと思っていたけれど、ちーちゃんも先生に教えてもらったことを必ず家で復習して次の予習も欠かさずやっていると聞いている。彼女も本当に頑張り屋さんだった。
「お~い! みんな~!」
クリスタリウムへの帰り道、前の方から声が聞こえてきた。レガリアを運転するスプリガンキャップを被ったメスッテ、助手席に置かれたキラキラ光る絶アレキの槍。びなこさんだ。
「あ、びなこさ~ん!」
隣を歩いていたあやかが手を振る。
「お疲れ、みんな~!」
びなこさんがレガリアを私たちの近くで停車させた。
「あはは、みんな、今日も顔が疲れてるわね〜」
「いやいや、牧さんは大丈夫ですよ。内なる牧川を解放しましたから!」
キリッと答える牧さんだったけど、たぶんこの中だと一番疲れていると思う。
「まあまあ、そう強がらずに。さ、みんな乗った乗った! 牧さんは助手席ね~。ララたちはみんな後部座席で。たぶん、乗れるっしょ!」
びなこさんが軽いノリでみんなを乗るように促した。よく会うメンバーの中で頼れるお姉さんポジションだった。みんなが乗り込むと、びなこさんはレガリアを発進させた。
「今日はノブさんたちが日頃頑張っているみんなのためにご飯作ってくれてるよ」
「ノブさんが!?」
あやかが目をキラキラ輝かせながら前の座席の方に顔を出した。
「しかも、今日は特別メニュー……オヴィムの肉のホワイトシチューらしいわよ」
「ホワイトシチュー!?」
今度は口からヨダレが垂れ始めた。
「ちょっと、あやか。ヨダレ垂れてるよ」
私は呆れながら、あやかにハンカチを差し出した。
「あ! ごめん、ごめん! ありがとう、ぷぅこ」
あやかはハンカチを受けとって口元を拭いた。
先生がそう言ったのは午後5時。お昼の休憩はあったけれど、およそ8時間近くにわたる今日の訓練が終わった。
「ふへ~ほへ~もう疲れたよ~」
ちーちゃんはそう呟きながらフラフラになっている。
「デプラス、エンボル……コルアコル……アドル……」
牧さんは赤魔導士のスキル名をずっと呟いている。二人ともかなりお疲れのようだ。
「うふふ、疲れてる牧川、かわいい。うふふ……」
そんな牧さんをスマホで連写しているナモさん。前から牧さんや他の人にキツイことを言われるのがご褒美だと言っていて、Mなのかなと思っていたけど、どうやらSの傾向もあるみたい。
まあ、こうして、冷静に他の人の様子を見れているということは、私にはまだ余力があるということなのだろう。
「ぷぅこ、お疲れ様!」
ああ、私よりも元気な子がいた。
「うん、お疲れ、あやか」
「いや~先生の訓練、今日も大変だったね~」
大きく背伸びしながら言うあやかを見ていると、疲れていた気持ちも少し軽くなった気がした。出会った時から何も変わらない。あやかはいつだって私に元気をくれる。
「でも、ダメージを受けたみんなに差し込みでヒールをする感覚は何となく掴んだから、あとはちーちゃんたちとタイミングをうまく合わせるだけだね!」
「あやかさんもぷぅこさんも飲み込みが早いからすぐに慣れると思うよ。私も頑張らないと!」
ちーちゃんが真剣な表情になって自分に活を入れる。私やあやかに合わせるために学者へ転職してくれて、苦労をかけたなと思っていたけれど、ちーちゃんも先生に教えてもらったことを必ず家で復習して次の予習も欠かさずやっていると聞いている。彼女も本当に頑張り屋さんだった。
「お~い! みんな~!」
クリスタリウムへの帰り道、前の方から声が聞こえてきた。レガリアを運転するスプリガンキャップを被ったメスッテ、助手席に置かれたキラキラ光る絶アレキの槍。びなこさんだ。
「あ、びなこさ~ん!」
隣を歩いていたあやかが手を振る。
「お疲れ、みんな~!」
びなこさんがレガリアを私たちの近くで停車させた。
「あはは、みんな、今日も顔が疲れてるわね〜」
「いやいや、牧さんは大丈夫ですよ。内なる牧川を解放しましたから!」
キリッと答える牧さんだったけど、たぶんこの中だと一番疲れていると思う。
「まあまあ、そう強がらずに。さ、みんな乗った乗った! 牧さんは助手席ね~。ララたちはみんな後部座席で。たぶん、乗れるっしょ!」
びなこさんが軽いノリでみんなを乗るように促した。よく会うメンバーの中で頼れるお姉さんポジションだった。みんなが乗り込むと、びなこさんはレガリアを発進させた。
「今日はノブさんたちが日頃頑張っているみんなのためにご飯作ってくれてるよ」
「ノブさんが!?」
あやかが目をキラキラ輝かせながら前の座席の方に顔を出した。
「しかも、今日は特別メニュー……オヴィムの肉のホワイトシチューらしいわよ」
「ホワイトシチュー!?」
今度は口からヨダレが垂れ始めた。
「ちょっと、あやか。ヨダレ垂れてるよ」
私は呆れながら、あやかにハンカチを差し出した。
「あ! ごめん、ごめん! ありがとう、ぷぅこ」
あやかはハンカチを受けとって口元を拭いた。
更新日:2021-02-03 19:28:17