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15 親友

 イル・メグ  リェー・ギア城内部。

 外で激しい戦闘が行われているのと対称的に、城の中はとても静かだった。わたしたち8人もお互いに口を閉じて、前に歩いていく。
「来テクレタ……アナタ達ガ……私ヲ城カラ出シテクレルノ?」
 開けた場所に妖精王ティターニアがいた。わたしたちを見ると、嬉しそうに微笑む。
「早ク、遊ビタイ……遊ンデ、遊ンデ、タクサン食ベルノ……」
 わかっていたことだけど、もう会話が成り立つような状態じゃなかった。
「違ウナラ、アナタガ遊ンデ、遊ンデヨ! ズット、ズット、永遠二!」
 ティターニアの出していた雰囲気が変わった。襲ってくる合図だ。
「戦闘開始!」
 ノブさんが号令をかけて、斧を構えて突撃する。わたし達もその後に続いた。ついにティターニアとの戦いが始まった。
「グルグル、巡ル……水ヨ、オイデ! メラメラ、燃エル……怒リンボ!」
「よし! 調査済みの攻撃だ! みんな、落ち着いて対処しよう!」
「はい!」
 ノブさんの声にみんなが反応する。ティターニアの攻撃は事前に打ち合わせていた内容の通りだった。みんな落ち着いて対処している。
 次にティターニアが何かの詠唱を始めた。
「全体攻撃が来るよ~! ヴェール展開!」
「アドルは入れましたよ!」
 ナモさんと牧さんがそれぞれ大きな声で報告してくれる。
「鼓舞展開! あやかさん、回復お願いします!」
「うん!」
 ちーちゃんもバリアを張ってくれた。ティターニアの全体攻撃がきて、みんながダメージを受ける。わたしは回復魔法を唱えて、みんなのHPを回復させた。タイミングはバッチリ。先生との訓練の成果が出た。
「ナイスです、あやかさ~ん!」
 とんがりさんが元気よく言って、ティターニアへの攻撃に入る。
「あやかさん、わたしたちも!」
「うん!」
 ちーちゃんの言葉に頷いて、わたしもグレアを連続で浴びせる。
「ウウ……イタイ、イタイ……ドウシテ、イジメルノ?」
 集中攻撃を受けたティターニアが泣きそうな声でそう言った。攻撃が効いている証拠だ。このまま、押し切れば……!
 けど、痛がっていたティターニアが突然、ふふっと笑った。
「狭イ、オ城……モウ、イヤ。森ノ……中デ、遊ビマショ!」
 そう言った瞬間、周りの風景がガラリと変わった。地面に草が生い茂り、周りがたくさんの木々に覆われる。
「な、なんだこれ~!?」
「ひょえボルデ~~ン!」
「こんな攻撃知らないぞ!」
 みんなの動揺する声が響き渡る。ティターニアがこんな技を持っていた情報はなかった。追い詰められたときに使う必殺技だったらしい。
「みんな、落ち着け! 慎重に対処するんだ!」
 ノブさんが必死に呼びかけたけど、予想もしていない展開にみんなの動揺は収まらなかった。
「アノ子モ、コノ子モ、ミンナ、オイデ!」
 ティターニアがそう言った瞬間、三体の魔物が姿を現した。資料で見たことがある。パック、ピーズブロッサム、マスタードシード、どれも強力な攻撃をしてくる危険な敵だった。
「ど、どうしよう!?」
「ナモ! ピーズブロッサムの相手を頼む! 俺はパックを相手する! 他のみんなはマスタードシートを頼む!」
 ノブさんが素早く状況判断をして、的確な指示をくれた。みんな「はい!」と返事して、それぞれの敵がいる場所に散開する。
 ノブさんとナモさんが二体の敵の攻撃に耐えている間に、わたし達はマスタードシードに攻撃を開始した。けれど、連続で全体攻撃をしてくるのでみんなのHPがどんどん削られていく。
「あやかさん、回復頑張ってください!」
「うん!」
 ちーちゃんの声に頷く。一生懸命みんなに何度もバリアを張ってくれてるけど、敵の攻撃が激しく一瞬で消え去ってしまう。わたしはパーティが全滅しないようにみんなのHP回復に専念した。

更新日:2021-02-03 20:13:17

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