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14 古の約束

 一方。クリスタリウム。

「……」
 空を見上げると相変わらず眩しい光に包まれたままだ。その景色を眺めてから、もうどれくらいの時間が過ぎただろう……。
 みんなはもうイルメグに到着して罪喰い達と戦っているんだろうか。それとも、ティターニアともう戦闘状態に?
 ノブさん達大丈夫かな……。ちーちゃんも……そして、あやかも怪我とかしてないかな……?
 永遠と疑問だけが思い浮かぶ。
 戦闘用の装備に着替えた。準備はできている。あとはこのクリスタリウムの出口から前へ踏み出すだけだ。
「……」
 けれど、その一歩前が踏み出せなかった。せっかくちーちゃん達が励ましてくれたのに、本当に情けないわね……私。
 どうすれば……どんな顔であやかに会えばいいんだろう。
 あんなことを言って、謝ることが出来ないまま、時間だけが過ぎていった。もうみんなの姿はない。ノブさん達のメンバーで残っているのは私だけだ。
 このままで良いのだろうか……。
「何だ、ようやく大罪喰いと戦いに行ったと思ったら、お前だけ残っていたのか?」
 ふと後ろから声が聞こえてきて振り返る。
 エメトセルクが背伸びをしながら歩いてきた。
「木の上でずっと寝ているのがあまりに気持ちよくてな。睡眠は良いぞ〜。暇な時間を快適に過ごす最も良い手段だ。お前も寝過ごしたのか?」
「……」
「やれやれ、私としたことがどうやら大きな勘違いをしてしまったらしい。あの中で特に出来るやつだと思って、お前には期待していたんだがな。戦う前から仲間を見捨てて、逃げ出すとは……失望だ」
 私はその言い方に腹が立ってしまった。
「あなたに……あなたに何がわかるっていうのよ? 関係ないでしょ!」
「ああ、その通りだ。だが、今イル・メグに出向いて罪喰いと戦ってる連中はお前の関係者だろ? それも随分と関係の深い連中のはずだ」
 エメトセルクはそう言うと、少し語気を強めた。
「だったら、こんなところで油を売ってる暇などないはずだ。なぜ、お前は戦わない?」
「……」
 私は何も言い返せず、顔を下に向けた。
「ま、連中が共に戦わないお前のことを憎たらしく思っているなら、わざわざこちらから出向く必要はないだろうな。命の危険が伴う戦いだ。それなら、ここでのんびり昼寝でもしておいた方が良い」
「……みんながどう思ってるかなんて、私にもあなたにもわからないわ」
「まぁな。なりそこないの奴らの思考をわざわざ読み取るなんて面倒だ」
 エメトセルクは肩をすくめて笑った。
「しかし、お前と言うやつは焦って部屋を飛び出してここまで来たらしいな。置き手紙があったのを見ていなかったのか?」
「え?」
 私が驚いて聞き返すと、エメトセルクはため息をついて右手を上に掲げて、パチン、と指を鳴らした。すると私の手元に一通の手紙が現れた。
「連中が出発する前に、学者のララフェルがお前の部屋に置いていったものだ」
 学者のララフェル……ちーちゃんの事だ。
「迷っているなら、それでも読んでから決めたらどうだ?」
「……」
 私は手紙をひろげて目を通した。

更新日:2021-02-03 20:07:38

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