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2 わたしたちの日常
五年後。現在、クリスタリウム。ペンダント居住館。
『今こそ誓いを果たす時! この俺が8時を知らせる』
「ん~むにゃむにゃ、もうちょっと……」
『力を解放する! 断ち切るぞ、起きろぉ!』
「ひゃあああ!」
セットしていた時計からサンクレッドの声が聞こえてきたかと思うと、どん、と爆発する音が鳴り響いて、わたしはベッドから飛び起きた。
「大変! もうすぐPD先生との訓練だった!」
目にも止まらぬ早さでパジャマから戦闘用の服に着替えた。
「えーと、スモークチキン入れて、修理用のダークマターもオッケー……ホットバーの配置もよしっと!」
準備を整えて部屋の壁に貼ってある一番大きなサンクレッドの写真を見た。
「じゃあ、今日も頑張ってくるね、サンクレッド!」
推しに挨拶を済ませて、わたしは部屋を出た。
今日も天気は雲一つない快晴!って言いたいところだけど、相変らず空は光に包まれていて、今は晴れているのか、曇っているのか、よくわからない。けど、いつだってわたしの心は晴れ模様だった。
「さてと、いつもならあそこかな……」
そう呟きながら、居住館を出て酒場『彷徨う階段亭』に入ったわたしはカウンターのほうに向かった。
「グリナ―ドさん、おはよ~」
「ああ、おはよう、あやか」
ビールジョッキを整理していた店主のグリナ―ドさんが挨拶を返してくれた。
「今日もPDたちと訓練か?」
「うん! もうすぐレベル80になるから、もっと本格的な訓練になるらしいの!」
「あいつの訓練、厳しいと噂になってるが、よく頑張ってるな~」
「うーん、ちょっと大変なところもあるけど、自分が成長してるのが実感出来るから楽しいよ!」
「そうか、なら良いんだけどな」
グリナ―ドさんはそういうと、ため息をついて反対側にあるテーブル席のほうに視線を向けた。
「あいつのほうは相変らずだ。すまないが、起こしてやってくれないか?」
「え、もしかして今日も?」
「そのもしかしてだよ」
グリナ―ドさんと同じ方向を見ると、テーブル席に突っ伏して寝ているララフェルの女の子がいた。見たらすぐにわかる。ぷぅこだった。彼女を起こすか、起こさないか悩んでいるのは最近この店のウェイターを始めたひいらぎさんのようだった。
「昨日も飲みすぎてあの状態だ。無理やり起こして追い出すのもどうかなと思ってな」
「すいません。すぐに起こしてきますね」
「よろしく頼むよ」
グリナ―ドさんにお辞儀してわたしはテーブル席のほうに向かった。
「ひいらぎさん、おはようございます」
「ん? ああ、おはよう」
「ごめんなさい、ぷぅこが迷惑をかけたみたいで」
「ああ、いや……」
ひいらぎさんは寝ているぷぅこのほうに視線を移した。
「こんなに気持ちよさそうに寝ているから、何だか起こしづらくって。代わってもらっていい?」
「はい、もちろんです!」
「ありがとう~。今日も訓練? 頑張ってね」
「はい!」
わたしがそう言うと、ひいらぎさんは手を振ってカウンターのほうに戻っていった。
「さてと……」
わたしは両手を腰にあてて、ぷぅこのほうを見た。
「んふふ……お菓子がいっぱい……全部私の物……」
寝言を呟きながら嬉しそうな顔をしている。せっかく良い夢を見ているから邪魔をしてしまうのは罪悪感がないとは言い切れないけど、このままにしておくわけにはいかない。
「ぷぅこ、朝だよ! 早く起きて!」
「んふふ……むにゃむにゃ」
「ぷぅこ! 早く起きないと先生の訓練に間に合わなくなるよ!」
「ぐふふ……もう少し、あと5分だけ」
「……」
わたしは息をついて背中に装備していた白杖を手に取った。
「迅速ホーリー!」
迅速魔からのホーリーで頭上で光の玉が爆発した。
「どひゃああああ!」
変な奇声をあげながらぷぅこが跳び起きた。
「よし、やっと起きたわね! おはよう、ぷぅこ!」
「び、びっくりした~ってあやか……おはよ」
白のボブヘアーにデーモンの角を付けたぷぅこは眠そうに目をこすった。
「もう~昨日もずっとお酒飲んでたの? グリナ―ドさんたち困ってたよ?」
「……」
「今日、先生との訓練大丈夫?」
「……うん、平気。準備昨日からしてたから」
ぷぅこがそう言って反対側の席に置いていたバッグを手に取った。
「じゃあ、行こ!」
「うん」
こうしてわたしはぷぅこと一緒にPD先生たちの待つレイクランドのジョッブ砦に向かった。
『今こそ誓いを果たす時! この俺が8時を知らせる』
「ん~むにゃむにゃ、もうちょっと……」
『力を解放する! 断ち切るぞ、起きろぉ!』
「ひゃあああ!」
セットしていた時計からサンクレッドの声が聞こえてきたかと思うと、どん、と爆発する音が鳴り響いて、わたしはベッドから飛び起きた。
「大変! もうすぐPD先生との訓練だった!」
目にも止まらぬ早さでパジャマから戦闘用の服に着替えた。
「えーと、スモークチキン入れて、修理用のダークマターもオッケー……ホットバーの配置もよしっと!」
準備を整えて部屋の壁に貼ってある一番大きなサンクレッドの写真を見た。
「じゃあ、今日も頑張ってくるね、サンクレッド!」
推しに挨拶を済ませて、わたしは部屋を出た。
今日も天気は雲一つない快晴!って言いたいところだけど、相変らず空は光に包まれていて、今は晴れているのか、曇っているのか、よくわからない。けど、いつだってわたしの心は晴れ模様だった。
「さてと、いつもならあそこかな……」
そう呟きながら、居住館を出て酒場『彷徨う階段亭』に入ったわたしはカウンターのほうに向かった。
「グリナ―ドさん、おはよ~」
「ああ、おはよう、あやか」
ビールジョッキを整理していた店主のグリナ―ドさんが挨拶を返してくれた。
「今日もPDたちと訓練か?」
「うん! もうすぐレベル80になるから、もっと本格的な訓練になるらしいの!」
「あいつの訓練、厳しいと噂になってるが、よく頑張ってるな~」
「うーん、ちょっと大変なところもあるけど、自分が成長してるのが実感出来るから楽しいよ!」
「そうか、なら良いんだけどな」
グリナ―ドさんはそういうと、ため息をついて反対側にあるテーブル席のほうに視線を向けた。
「あいつのほうは相変らずだ。すまないが、起こしてやってくれないか?」
「え、もしかして今日も?」
「そのもしかしてだよ」
グリナ―ドさんと同じ方向を見ると、テーブル席に突っ伏して寝ているララフェルの女の子がいた。見たらすぐにわかる。ぷぅこだった。彼女を起こすか、起こさないか悩んでいるのは最近この店のウェイターを始めたひいらぎさんのようだった。
「昨日も飲みすぎてあの状態だ。無理やり起こして追い出すのもどうかなと思ってな」
「すいません。すぐに起こしてきますね」
「よろしく頼むよ」
グリナ―ドさんにお辞儀してわたしはテーブル席のほうに向かった。
「ひいらぎさん、おはようございます」
「ん? ああ、おはよう」
「ごめんなさい、ぷぅこが迷惑をかけたみたいで」
「ああ、いや……」
ひいらぎさんは寝ているぷぅこのほうに視線を移した。
「こんなに気持ちよさそうに寝ているから、何だか起こしづらくって。代わってもらっていい?」
「はい、もちろんです!」
「ありがとう~。今日も訓練? 頑張ってね」
「はい!」
わたしがそう言うと、ひいらぎさんは手を振ってカウンターのほうに戻っていった。
「さてと……」
わたしは両手を腰にあてて、ぷぅこのほうを見た。
「んふふ……お菓子がいっぱい……全部私の物……」
寝言を呟きながら嬉しそうな顔をしている。せっかく良い夢を見ているから邪魔をしてしまうのは罪悪感がないとは言い切れないけど、このままにしておくわけにはいかない。
「ぷぅこ、朝だよ! 早く起きて!」
「んふふ……むにゃむにゃ」
「ぷぅこ! 早く起きないと先生の訓練に間に合わなくなるよ!」
「ぐふふ……もう少し、あと5分だけ」
「……」
わたしは息をついて背中に装備していた白杖を手に取った。
「迅速ホーリー!」
迅速魔からのホーリーで頭上で光の玉が爆発した。
「どひゃああああ!」
変な奇声をあげながらぷぅこが跳び起きた。
「よし、やっと起きたわね! おはよう、ぷぅこ!」
「び、びっくりした~ってあやか……おはよ」
白のボブヘアーにデーモンの角を付けたぷぅこは眠そうに目をこすった。
「もう~昨日もずっとお酒飲んでたの? グリナ―ドさんたち困ってたよ?」
「……」
「今日、先生との訓練大丈夫?」
「……うん、平気。準備昨日からしてたから」
ぷぅこがそう言って反対側の席に置いていたバッグを手に取った。
「じゃあ、行こ!」
「うん」
こうしてわたしはぷぅこと一緒にPD先生たちの待つレイクランドのジョッブ砦に向かった。
更新日:2021-02-03 19:47:36