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小説

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「……ごちそうさま」

 ヒナイチはバツが悪そうにフォークを置いた。

「お粗末様でした」

 ニコニコと返事をするドラルクをそーっと見上げる。

「迷惑じゃないのか」
「どの辺が?」
「部外者が毎日のように来て」
「いまさら部外者なんて言うつもりかい?」
「馳走になるばかりで金も払わずに」
「ロナルド君の財布だし気にすることはない」

 そこは気にしろ!とロナルドの声が飛んできそうだが、今は不在だ。

「ねえヒナイチ君、私が食べもしない食事を作り続けるのはどうしてだろうね」
「……吸血のためだと聞いたことがある」

 人を招き入れるため、健康的な血を手に入れるため。吸血鬼対策課なら基本的な知識だ。

「だけど、君たちの血を吸ったことはない」
「作るのが好き、とか?」
「半分はそうかな。あと半分はジョンやヒナイチ君が……一応ロナルド君も入れとくか、美味しいと言ってくれるのは嬉しいものだよ。これは一方的な供与じゃない、作ったものをきちんと褒めてくれるなんて充分な報酬じゃないか。君たち吸対だってお金のために市民を守ってるわけじゃないだろう?」

 こくん、とうなずく。

「君が嬉しそうに食べてくれるのに、迷惑だなんてカケラも思ったことはないよ」
「じやあ、食べていいんだろうか」
「誰も反対なんてしていないだろう」
「……そうだな。少し考えすぎたのかもしれない。なんだか急に怖くなったんだ」
「怖い?」
「これが問題になって来られなくなったら……」
「来られなくなったら?」
「おやつが食べられないじゃないか」

 居間が妙な空気に包まれる。

「ヒナイチ君……それじゃ、どちらにしろ食べられないけど」
「あっそうか。……いや、おやつだけじゃなくて!」
「……うん、大丈夫だ。誰かに咎められたって私は平気だし、君が来たい時に来ればいい。おやつだって君のために用意しておくさ」

 ぐうう~、と音が響く。ヒナイチは真っ赤になってお腹を押さえた。

「す、すまん、食べたばかりなのに。また食べてもいいと思ったら安心して……」
「じゃあ、お代わりはいかがかね?」
「ヌンヌ!」
「ジョンは今日食べすぎたからダメ。ご飯も減らさないと」
「ヌー!」

 食べさせておいてひどい!とジョンは叫び、ふたりは声を上げて笑った。

更新日:2021-02-15 17:08:07

【二次創作・吸死】ドラヒナ短編