官能小説

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カラスがしゃべった!

 カラスが喋るというのは、九官鳥のことを考えれば、さほど不思議ではないだろう。けれども、話をするとなると事情は違ってくる。
「人間っていうのは変な生き物だなあ。オスとメスが、それだけで仲が悪いのは分からない。」
 いつも餌をもらいに来るカラスが、突然、愚痴を漏らした僕に言葉を返したので僕は驚いた。
 僕は小学六年生だ。去年、よその県から引っ越して来たのだったが、来て早々、なぜか女子に目を付けられて、それ以来、もう一年ものあいだ、虐められているのだった。クラス替えも無いまま四月を迎えた。
 クラスは女子の数が三分の二を占めている。男子は大人しくて、みんな、どこかしら女子に圧力を掛けられていた。
 ボスは、ハーフだという、見た目が全く外国人の、子供モデルもしている女子だった。僕はそいつに直接目を付けられてしまっていたから、救いようのない立場だった。
 そいつは名前を「くるみ」と言った。空手か何かを習っているとかで、噂によると、実際、強いらしい。
 僕はしょっちゅう、くるみに呼び出されては、女子トイレでパンツを脱がされた。クラスの女子のうち、僕の股間に触れたことのない奴は一人もいない。また、僕の股間を蹴ったことのない奴もいなかった。
 担任は女の先生だったが、くるみのことをとても高く買っていて、どうやらくるみの家とも仲がいいという噂があった。くるみの家は、教育委員会にも関係しているようだ。
 僕は誰にも相談できなかったし、他の男子も、目を付けられることを恐れて、僕から距離を置いていた。女子はもちろん、くるみの言いなりだった。
「なあ、さとし、そんな奴はさあ、カラスたちが目でも突いてやるよ。どいつか今度教えてくれよ。」
 カラスがパンをつつきながらそう言った。さとしは僕の名前だ。僕は
「嬉しいけど、解決にはならない気がする。て言うか、過激なことはやめてほしい。」
「じゃあ、石でも落として気絶させるから、その隙に交尾してやれば? 子供でも産めば女は変わるよ。」
「それだと僕の人生も終わると思う。」
 カラスは
「面倒くさいな。カラスの神様に頼んでみようか。」
「よく分からないけど、そう言ってくれるだけで嬉しい。」
「嬉しいじゃなくて、解決しろよ、解決。じゃあ、また明日な。」
「女子トイレに来れば、どいつか分かるよ。一番美人の女がくるみだよ。」
「美人とか、カラスに分かるもんか。とにかく見に行く。」
 カラスは飛んで帰った。僕は、久しぶりに友達と話したような楽しい気分になることができた。

 しかし、それはそれである。学校の日常は普段と何ら変わらない。
「副睾丸って、道場で習ったんだ。男子が一番痛い所だって。」
 もう僕はパンツを脱がされ、女子たちの前に立たされていた。くるみは僕の袋を片手で掴んでいた。
 股間に鋭い痛みが走った。
「ここだ、ここだ!」
 くるみが嬉々とした表情をした。
「ぎゃっ!」
 くるみに爪を立てられた僕は腰を引こうとしたが、くるみが反対に袋ごと引っ張ったので痛みはより激しくなった。
「泣けば? ほら、あんたたち、一人ずつ触ってみな。」
 女子たちは、恐る恐る、或いは遠慮なく、僕の睾丸を掴むと、副睾丸と呼ばれた所に爪を立てた。
「あ、あ、あ、あ!」
 吐き気が込み上げた。
「そのまま続けて。」
 くるみは一人、僕のちんこをつまみ上げ、ずるりと皮を剥き下ろした。これがくるみは大好きなようだった。
「ふふふ。じゃあ今日のとどめね! どいて。」
 僕の両側にいた女子が離れた直後、くるみは袋を蹴り飛ばした。
「ひいっ!」
 くるみは、剥かれた竿と袋とを交互に蹴り続けた。
「いち、にい、さん、しい、ご、ろく、あ、倒れた。あんたたち、あと、好きにやりな。」
 倒れた僕の袋を、残りの女子たちは一人ずつぱんぱんと蹴って行った。
 くるみは
「立てるようになったら、保健室行ってきな。金玉を鉄棒で打ちましたって。保健の先生にちゃんと見せてきなよ。じゃあ、今日の記念ね。」
 くるみは、毎回ケータイで僕の写真を撮っていた。シャッター音に重なり、遠くからカラスの声が僕の耳に聞こえていた。

更新日:2020-09-26 18:57:04

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