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亡魂女子プロレス中継 07

挿絵 685*486

新宮真希&葛西ミミカ&キャット・ザ・ニャンコ 対 ヘルファイア業火&レクイエム小野田&ダークブレイド・ムザン
亡魂女子プロレス大阪大会第三試合、前回の名古屋大会の煉獄党乱入のアクシデントといったひょんな運びから6人変則タッグマッチが実現した。試合は45分のイリミネーションマッチ(3カウントかギブアップ、またはオーバー・ザ・トップロープでリング外へ落ちた選手は退場。最後の一人まで残ったチームが勝利)のルールとなった。先ずは選手入場。新宮、葛西、キャットのチームが新宮のテーマ曲「亡魂ルンバ」で入場。続いて、煉獄党チームが大音量のデスメタル調テーマ曲でリングへ登場した。緊張の試合前、新宮は準備運動の膝の屈伸をしつつ、今回の試合のイメージをしていた。ラフファイトが得意でヒールの女王に君臨する「ヘルファイア業火」と、ベテランで残酷なテクニシャンである「レクイエム小野田」、そして戦闘力未知数の謎のレスラー「ダークブレイド・ムザン」の攻略法はそうそう容易くないと思えた。いずれも侮れないツワモノ揃いであった。そして仲間のミミカとキャットをちらりと見て「それにひきかえ、こちらは おんにゃのコ と にゃんこ か……」新宮はため息が出そうになるのを堪えると「まっ、やるだけやってみるか! 久々のリングだ。ここは大いに暴れまくって、何よりプロレスを楽しまなくっちゃアタシらしくない!」と努めて強気の笑顔を作ってみた。そこで丁度リングアナの選手紹介「新宮真希~!」のコールに応え腕を高く掲げた。お決まりの新宮引っ込めコールが起こったが、「真希ーっ、頑張っちょういのし!」と紀州弁の声援はまた家族と地元の知人であろう。小さな応援団だが新宮は大いに勇気付けられた。そして次々に各選手のコールが始まり、各陣営の選手がリング中央に集まると新宮チームが握手を求めるも煉獄党勢は拒否。ここでカーン! とゴングが響き試合開始。新宮とヘルファイア。先ずはこの両者が両陣営の先鋒に立った。いわばのっけから大将同士の対戦である。間合いを詰めながらいきなり怖い顔で睨みあう両者。目を外すことなく額ぶつけ合いしばし膠着。そして激しくロックアップし二人の力比べとなった。新宮はウエイトではヘルファイアにかなり劣るもののここで持ち前のバカ怪力を発揮し、じりじりとヘルファイアを後方へと押しやった。さすがに客席からどよめきの声が。そしてコーナー近くでヘルファイアの巨体を真横に力任せにぶん投げた。「おおおお!」観客は堰を切ったように沸いた。転げ倒れたヘルファイアに重たいストンピングを5、6発落とした新宮。しかし、ここは深追いせずミミカにスイッチ。ヘルファイアもレクイエムに交代すると、ミミカは速攻得意のキック連打をイイ感じで叩き込んだ、「ミミカー! ミミカー!」ファンの大歓声に応え、先ずは幸先いい出だしをキープした。堪らずレクイエムはダークブレイド・ムザンにスイッチ。ミミカもキャットにスイッチ。これが亡女初見となるムザンはトップロープから派手なバック宙でリングに降臨し、続けてキレッキレの忍者の戦闘ポーズを披露した。新参ながらも感嘆と称賛で客席を沸かせた。一方のニャンコも猫を模したコミカルな戦闘ポーズで一部のファンを魅了した。そしてお互い軽快な身体能力を活かしたスピィーデーなバトルが開始された。そして空中殺法が得意な両者はロープ最上段に登る頻度が多く、両者コーナーポスト上での小競り合いが勃発。ここでよせばいいのにキャット得意のロープ綱わたりのパフォーマンスを繰り出した。これはコミカルレスラーの宿命かニャンコの習性だからいた仕方ないのであろう。既にやな予感でいっぱいの新宮とミミカ。パフォーマンスの途中で、ネタに乗っかってムザンがロープをゲシゲシ蹴りだし揺らし始めた。客席(笑)。これにはキャットも堪らずバランスを取るのに精いっぱい。リング場外に転落すればオーバー・ザ・トップロープで一発負けが確定。観客席からスリリングな声援が飛びかった。キャットが何とか踏ん張っているといつの間にか目の前にいたムザン。そしてムザンのゆるい廻し蹴りをくらいキャットは無残(ムザンだけに)にも場外へ落下。ムザンも回転の勢いで華麗にトップロープとセカンドロープの間をクルリと潜ってリングに帰還。観客の大歓声を集めた。キャットはネコのポーズでトボけるもレフリーの「エースコック佐々木」から失格を宣告。新宮とミミカはポカーンとなったところで次回に続く。

更新日:2020-11-14 12:23:30

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