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範頼の銀河 新たな武士

 武士とは平安時代に於いては清和源氏或は桓武平氏の子孫……要するに父を遡れば天皇に到達する者達を表す。其れが鎌倉、室町、江戸に至る事で武士の定義は大きくずれる。鎌倉時代に成ると御恩と奉公に応えられる者達が正しいだの室町時代だと力の強い者達が正しい武士の在り方だとか江戸時代に成ると最早武士とは帯刀を許された一種の上級国民の証という平安時代当時の武士の定義から大きく離れる事と成るのは余りにも武士という定義を履き違える時代の流れと呼べるだろう。

 さて、そんな風に時代が下る度に定義が変わる前の武士……「漸くだな、漸く俺様は新たな天皇に成る日が近い!」本来或るべき武士の姿を目指した男が各地で反乱を起こした時期--九州で反乱を起こした藤原純友と並んでメジャーな源流たる武士(もののふ)!

「将門公、此方は劣勢で御座います!」

「おのっれええ、桓武平氏の面汚し共め……俺様が天皇に成れば藤原共で穢れに穢された朝廷の立て直しが出来るというのに、何故其れが気付けんか!」

「将門公、此れ以上は雨が激しくなる一方で在りますウウ!」

「矢の雨が如何したああ……俺様は天皇と成る桓武の再来なのだぞおお!」

「そ、其れ以上は……グワアアあ!」

「ナッ……」哀れ、新皇(しんのう)を名乗る其の男は流れるように飛んで来る矢を額に受けてしまう!

 此れが将門の乱の末路……平将門は天皇を騙ったが為に天罰を受けた? 否、其れならば如何して将門が死んでから怨霊騒ぎが起こったのか? 何故朝廷は将門を其処迄恐れるように成ったのか? 其処から推測するに将門は本当に天皇の如き霊力を獲得してしまった。故に彼は天皇を騙ったのではなく本当に天皇其の者だった。でなければ怨霊騒ぎは起こらない上に朝廷は彼を鎮めようと尽力する筈もない!

 さて、平将門の恨み辛みは死んでも晴れる事がない。彼の首塚は工事の度に何かしらのトラブルが憑き物。其れは紛れもなくフィクションでは済まされない何かが眠る程に……其の何かとは、遥か未来にて起こった!

「何だ、此のクローンは……うわああああ!」

 と在る宇宙船にて事故が発生……「此処は?」

更新日:2020-07-29 07:02:56

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成るべく新作をお送りする客寄せに作る掌編集