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第4話 オナモ・ミトロヴイッチ

挿絵 350*263

 ミシェルたちの眼前には追手のグレイズ…その三機が
 立ちはだかっていた。

  「ミシェル・ベリック!聞こえるか!?おとなしく投降しろ!」

 グレイズの足元には数機の「モビルワーカー」もいる。
 そこから声が発せられ、それがあたりにこだまする。
 やがてその場にさっきの関係者たちも機体の足元で銃を構えて
 いた。

  「二人とも降りてろ」

 ダンタリオンは一度降着姿勢になり、ケイトスとハッサンを
 下した後、再び立ち上がった。
 ちなみにダンタリオンは武器を何も持ってはいない。
 これでどうやって三機ものグレイズらと戦おうというのだろう
 か…。
 それはある意味、無謀ともいえた。

  「ミシェル…」

 ケイトスが不安げにダンタリオンを見上げた。
 その声は彼に届いているだろうか?
 闇の中でダンタリオンのツインアイが、ぼんやりと
 レモンイエローに輝いた…。



 …その頃、ミシェルたちがいる現場に向かって一機の
 モビルスーツがホバリングで疾走していた。
 グレイズと同じダークグリーンに塗装されたモビルスーツ…
 陸戦仕様のマンロディ、正確には「ランドマンロディ」だった。

  「この感じ…どこかで…」

 そのコックピット内には一人の少女の姿があった。
 …だが彼女は普通の衣服に身を包み、パイロットスーツは
 着用していない。
 その現場へとたどり着く手前で、機体は突然停止した。
 そして、その頭部にある三角を組み合わせたような「単眼」が
 ぼんやりと輝いた。
 そこにいる少女…それは、あの「赤牙」のパイロットといわれる
 オナモ・ミトロヴイッチであった。
 彼女は前方の映像を、暗視モードから熱源探知モードへと
 映像を切り替え、そこで動き回るいくつかの光に目を
 見張った。
 …と、そこに彼女の記憶にあるシルエットを確認した。
 同時にその推測される期待情報が表示される。

  「これは…!」

 彼女の全身を、一筋の電撃のようなものが貫く!

  「誰?いったい誰が乗っているの…?」

 誰かに呼びかけるような彼女の声。
 …その後、機体は前方に向けて再び疾走を始めた…!

更新日:2020-08-14 16:58:03

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鉄血のオルフェンズ創作/「赤牙」(「せきが」)