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第1話 逃亡の果てに
「…いくぞ相棒!」
フウゥゥンンッ…
コックピットの背後にあるリアクターが静かに唸りを上げる。
同時にその内部の照明が落ち、前後左右の映像が目の前に
投影された。
ピッ…!
前方のスクリーンに直ぐに警告のアラートが表示される。
…そこには、相手の「モビルスーツ」の情報が流れ、その
武装状態などが示される。
「グレイズか。もう何体やったっけな…」
その男は独り言のようにつぶやくと、操縦桿を握り直し、
ゆっくりとそれを目的の方向へと倒す。
…その瞬間、前方が幾らかフラッシュ、同時に激しい振動が
コックピットを包み込んだ!
どうやら相手が何かを発砲し、それが傍に着弾したらしい。
「武器を持てばいいというものじゃない」
彼は構わず操縦桿をさらに前方に押し込み、そして足元の
ペダルをグイと踏み込んだ。
まもなく機体は上下に揺れ始め、前方の情景が近づいてくる。
やがて噴煙の中から一体のモビルスーツが姿を現した。
それは装甲をダークグリーンに塗装したモビルスーツ、
「グレイズ」だった。
その頭部にある四角のスコープが淡い黄色の光を放つと
同時に、装備した「マシンガン」をこちらへと向けた。
だが…!
「遅い!」
前方のグレイズが発砲するより、男の乗るこの機体の反応の
方が早かった。
ギンンッ!!
男の駆るモビルスーツは「鉾槍」のような武器を持っており、
それをグレイズに横殴りに叩き込んだ!
その動作は人間のようにしなやかで、そして、スムーズ
だった。
痩身の細いフォルムを持つその機体。
このところ、このモビルスーツのことを「蒼き痩身の悪魔」と
呼ぶ者もいた。
その機体の装甲は白いが全身各所が蒼く、また、内部の
フレームが半ばむき出しといういで立ちであった。
近年モビルスーツというものは、その相手の武装に対応できる
よう、重厚な装甲を持つものが多いが…その機体はその理論を
完全に覆している。
腰部のサスペンションが軽い軋み音を上げ、スムーズに
上半身を回転させる。
そして全身とは不釣り合いなその大きな足が、よろめいた
グレイズに蹴りを見舞った!
ガッ!!
その姿からは考えられないほどのパワーでグレイズを
ぶっ飛ばす!
そして…。
すかさず男のモビルスーツが駆け出し、止めとして
グレイズの胸部を鉾槍で貫いた。
「次は…!」
その背後にいたもう一体のグレイズが怯む様にあとずさり
する。
…だが、それは持っていたマシンガンを狂ったように
乱射するばかりだった。
「…ムダだ。おとなしくこの悪魔の餌食となれ!」
一旦、機体が沈み込むような姿勢をとる。
そのあとそのモビルスーツは天高く飛び上がった!
「う…うああぁぁーーっ!!」
グレイズのパイロットが叫び、再びマシンガンを乱射する。
迫る火線をものともせず、男の機体は降下し、そして…
突き出した武器はグレイズの脳天を直撃した…!
パイロットは全身ごとそれに潰され、そして…機体は爆散する
ことなく、静かに沈黙した。
…白い頭部の額にはオレンジイエローのV字型のアンテナ。
そして…頬にも同じ色の装甲があり、人のようなその両目が
レモンイエローの輝きを放つ…!
その機体の名前は「ダンタリオン」といった。
そして…かつて70を超えるといわれる「ガンダム」という名を
冠したモビルスーツのうちの一体。
そして…。
そのコックピットに座る男の名は…。
「…いくぞ相棒!」
フウゥゥンンッ…
コックピットの背後にあるリアクターが静かに唸りを上げる。
同時にその内部の照明が落ち、前後左右の映像が目の前に
投影された。
ピッ…!
前方のスクリーンに直ぐに警告のアラートが表示される。
…そこには、相手の「モビルスーツ」の情報が流れ、その
武装状態などが示される。
「グレイズか。もう何体やったっけな…」
その男は独り言のようにつぶやくと、操縦桿を握り直し、
ゆっくりとそれを目的の方向へと倒す。
…その瞬間、前方が幾らかフラッシュ、同時に激しい振動が
コックピットを包み込んだ!
どうやら相手が何かを発砲し、それが傍に着弾したらしい。
「武器を持てばいいというものじゃない」
彼は構わず操縦桿をさらに前方に押し込み、そして足元の
ペダルをグイと踏み込んだ。
まもなく機体は上下に揺れ始め、前方の情景が近づいてくる。
やがて噴煙の中から一体のモビルスーツが姿を現した。
それは装甲をダークグリーンに塗装したモビルスーツ、
「グレイズ」だった。
その頭部にある四角のスコープが淡い黄色の光を放つと
同時に、装備した「マシンガン」をこちらへと向けた。
だが…!
「遅い!」
前方のグレイズが発砲するより、男の乗るこの機体の反応の
方が早かった。
ギンンッ!!
男の駆るモビルスーツは「鉾槍」のような武器を持っており、
それをグレイズに横殴りに叩き込んだ!
その動作は人間のようにしなやかで、そして、スムーズ
だった。
痩身の細いフォルムを持つその機体。
このところ、このモビルスーツのことを「蒼き痩身の悪魔」と
呼ぶ者もいた。
その機体の装甲は白いが全身各所が蒼く、また、内部の
フレームが半ばむき出しといういで立ちであった。
近年モビルスーツというものは、その相手の武装に対応できる
よう、重厚な装甲を持つものが多いが…その機体はその理論を
完全に覆している。
腰部のサスペンションが軽い軋み音を上げ、スムーズに
上半身を回転させる。
そして全身とは不釣り合いなその大きな足が、よろめいた
グレイズに蹴りを見舞った!
ガッ!!
その姿からは考えられないほどのパワーでグレイズを
ぶっ飛ばす!
そして…。
すかさず男のモビルスーツが駆け出し、止めとして
グレイズの胸部を鉾槍で貫いた。
「次は…!」
その背後にいたもう一体のグレイズが怯む様にあとずさり
する。
…だが、それは持っていたマシンガンを狂ったように
乱射するばかりだった。
「…ムダだ。おとなしくこの悪魔の餌食となれ!」
一旦、機体が沈み込むような姿勢をとる。
そのあとそのモビルスーツは天高く飛び上がった!
「う…うああぁぁーーっ!!」
グレイズのパイロットが叫び、再びマシンガンを乱射する。
迫る火線をものともせず、男の機体は降下し、そして…
突き出した武器はグレイズの脳天を直撃した…!
パイロットは全身ごとそれに潰され、そして…機体は爆散する
ことなく、静かに沈黙した。
…白い頭部の額にはオレンジイエローのV字型のアンテナ。
そして…頬にも同じ色の装甲があり、人のようなその両目が
レモンイエローの輝きを放つ…!
その機体の名前は「ダンタリオン」といった。
そして…かつて70を超えるといわれる「ガンダム」という名を
冠したモビルスーツのうちの一体。
そして…。
そのコックピットに座る男の名は…。
更新日:2020-06-19 15:07:54