官能小説

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私と離れる寂しさと不安と。これから押し寄せるであろう重圧と。

真正面から受け止めて、己と対峙しているれいちゃんが、愛おしい。

もがき傷つき真っ赤な血を流しながらも、飛び立とうとする翼のなんと美しいことか。


ガタンっ!


嗚咽をこらえていたれいちゃんが急に立ち上がり、息もできないほどに抱きしめられる。


「さゆみっ・・・さんっ!」


長い指先が私の頬を捕え、深く口づけられる。

れいちゃんの熱く濡れた舌先が、私の隅々まで探るように差し入れられる。

ちょっぴり涙の味のする舌先。れいちゃんの奥深くにしまい込まれていた味。


「さゆみさん、さゆみさん、さゆみさん。。。。」


熱に浮かされたように、ただただ私の名前を呼びながら、キスだけを繰り返す。


うん、大丈夫だよ。

私は、ここにいる。


狂おしいほどの情熱で求めてくるれいちゃんを安心させるように、ゆっくりと、まったりと舌先を絡める。

バニラアイスが体温でじんわりと溶けるみたいに。


「さゆみ、さん・・・。」


れいちゃんのトーンが段々と落ちついてくる。

苦し気に寄せられていた眉が、やんわりとほどけてくる。


「ね?」

「・・・はい。」


今度は私がれいちゃんの頬を包み込んで、しっかりと視線を合わせて微笑むと、彼女も微笑む。

頬にはしっかりと涙の筋が残っているけれど、纏っている空気がやわらかい。

私たちの積み重ねてきた年月が、何も語らずとも感じあえるものがある。


「さゆみ、さん・・・。抱いても、いいですか?」

「・・・ここで?」


誰もいないとは言え、あまりにも私たちのことを知り尽くしている稽古場だけに、曝け出すのは恥ずかしい。


「ここ、だから・・・です。」


つい、まじまじとれいちゃんを見詰めると、頬を染めて視線を泳がせてしまう。


「さゆみさんと過ごした時間を、残したいんです。一人でも大丈夫なように・・・勇気を、ください。」

更新日:2020-05-31 15:46:56

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