官能小説

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鏡の中の記憶

>REI


DANCE OLYMPIA


「はあ・・・。」


自分の限界までお稽古しても、時間が足らなさ過ぎて、手足が思うように動かない。

時計の規則的な音が、静かな空間に響く。


「急げ、急げ。もう時間がないよ。」

アリスの絵本の中のうさぎさんが鏡の中を駆け回っている。


「わかってる。だから悪戯しないで。」


宇宙の摂理に従い、時間は規則的に進んでいるはずなのに、きっとあのうさぎさんが時計のねじをぐるぐると早回ししてるんだ。


「う・・・。」


なんだか気分が悪い。

ぐるぐると世界が回る。


鏡の中の青白い顔色をした私と目が合う。

硝子を伝う指先から力がーーー抜けた。


更新日:2020-05-31 15:43:23

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