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シャラの木の夢 10

『もしもし、義則さん?』

『典ちゃん、久し振り。どしたの?』

『一月振りね。義則さん。突然ですが明日の日曜日って何か予定ある?』

『いや、特に無いよ』

『予定無かったら連れていってほしいとこがあるの』

『連れていってほしいとこ?いいよ。どこでもお供しまっせ』

『良かった…。断られたらどうしようと思った…。
明日、琵琶湖まで連れてってほしいの。
義則さんも一緒じゃなきゃダメなの。
夢の中で沙羅が私と義則さんを待ってるって言ってた。
3人で行った琵琶湖の場所覚えてる?』

『おいおい…典ちゃんも沙羅の夢を見たのか?もしかしたら俺と典ちゃんの結婚の事じゃないよね?俺にも、典ちゃんと一緒に琵琶湖に来てほしいようなこと言ってたぞ…』

『あっ…、それ同じ夢だと思う。て言うか夢じゃなかったのかな…』

『10年経って、典ちゃんと俺が一緒になってなかったら化けて出るからねって、あいつ言ってなかった?』

『うんうん、言ってた言ってた。も、もしかして化けて出てきたってこと?』

『その可能性は大いにある。アイツと典ちゃん沙羅双樹の木に囲まれてなかった?』

『あっ、なんか迷彩柄みたいな木には囲まれてた』

『やっぱおんなじだ…。その木は沙羅双樹って言って沙羅の名前の由来のお釈迦様に纏わる木なんだよ。アイツが言ってた琵琶湖の場所分かったよ』

『どこ?私も行った場所?』

『あぁ…、典ちゃんも確かに一緒に行ってる草津水生植物園だよ』

『あっ、思い出した…琵琶湖の畔にある植物園ね。うんうん、思い出した』

『明日早めに出よう。何時に待ち合わせる?車で迎えにいくよ』

『義則さんに合わせる!』

『分かった。朝6時に自宅に迎えにいくよ。名古屋からだと三時間くらいで着くと思う』

『わかった。お願いします』

共通の夢を見た義則と典子は沙羅の待つ琵琶湖へ向かうことになった 

更新日:2020-05-08 06:42:13

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