官能小説

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R-18

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 少し高い体温に触れていると、安心する。
 神戸は深く息を吸い込み、ゆっくりと吐いた。
 神戸の呼吸に合わせて二人の密着度合が変わるが、触れている肌が逃げる気配はない。
 隣にいていい、と許されている気がする。
 触れあっている肌と肌は、どちらのものかわからない汗で湿っている。このわずかな水分が、二人の肌を一層密着させ、あえかな時間を思い出させる。
 窓の外からは、休日の昼下がりらしい子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくるが、静かな室内で聞こえるのは、規則正しい息遣いだけだ。時計の秒針が動く音も、冷蔵庫の唸りも聞こえない。コンクリートの壁に切り取られたこの空間にいるのは、神戸と大河内の二人だけだ。
「ん……」
 もっと近くに寄り添いたくて、神戸が目をつぶったまま額を押し付けると、さりげなく回された腕が頭部を持ち上げ、肩に揺すり上げる。
 眠っていると思っているのだろう。
 そうじゃなかったら、大河内がこんなことをしたりしない。
 神戸に心を許していると、誰よりも認めていない大河内が、自分から神戸の体に腕を回すなんて、よほど窮地に立たされているときか、他に選択肢がないときくらいだ。
 今、大河内は追い詰められてもいないし、背を向けるなり、出ていくなり、ありとあらゆる選択肢がある。
 なのに、大河内は自分から神戸との距離を詰めた。
 少しはうぬぼれていいのだろうか。
 必要とされていると。
 愛されていると。
 唯一無二の存在になれると。
 ……いや、さすがにうぬぼれすぎだ。傍にいることを許されたにすぎない。
 でも、もう少しだけ……もう少しだけ、うぬぼれさせて欲しい。
 神戸は眠ったふりをしたまま、大河内の顎に額を擦りつけ、少しだけ顔を上げる。大河内が少し顔を傾ければ、唇が触れるくらいに。
 大河内の肩が動く。頬に吐息が触れる。空気を通して熱が伝わる。
 近い。
 自分から伸ばしたくなる唇をきゅっと引っ込め、大河内からの到来を待つ。
 もう少し……もう少し……唇に触れるまであと数ミリ。
 グーーーーーーキュルルルル
 こんな時に!
 タイミングが悪すぎる。
 思わぬ胃袋の反乱に驚き、思わず目を開くと、驚いた顔で見つめる大河内と目が合った。
「お前……」
「んふ」
 笑って見せたが、狸寝入りをしていたことは明白だ。
 頭の下から肩が引き抜かれ、大河内が背中を向ける。
「おーこーちさーん」
 ベッドから飛び降りられていないから、まだ大丈夫のはずだ。
 甘えた声で名を呼びながら、広い背中にぴたりと寄り添う。
 グーーーーキュルルグー
「お腹すきましたね」」
 同意とも否定ともとれる唸りが返ってくる。
「ブランチ食べて、そこから飲まず食わずで、今ですもんね」
 ふんと荒い鼻息は、不快感の現れだ。昨日から今までの二十時間近くを何に費やしたか、振り返りたくないのだろう。神戸は聞かなかったことにして、言葉を続ける。
「どこに食べに行きます? 飲みに行くにはまだ早い……かな、そうでもないか」
 夕方四時半を早いととるか、遅いととるか、迷うところだ。
「イタリアン……は昨日食べたし、和食にしますか? それとも中華。意表をついてインド料理、あ、スパイス系は苦手でしたっけ」
 クゥクゥ鳴る腹を撫でながら、あれこれ考える。いろいろな料理が頭に浮かぶが、よほど体が疲れているのか、食べたいと思うものは炭水化物と塩分がたっぷりの料理ばかりだ。
「ラーメンとか炒飯とか……炒飯がいいなぁ。卵とネギのシンプルな炒飯。大河内さんはどんな炒飯が好きですか? チャーシュー? エビ? 餡掛け? レタス炒飯って流行りましたよね。大河内さん、食べました? けどなぁ、きちっとした格好になるの、面倒くさいしなぁ」
 神戸の言葉を聞いているのかいないのか、無言で大河内が手を伸ばし、枕元に置いていたスマホを取る。肩越しに覗き込むと睨まれたので、すごすごと引き下がったが、この間に何通ものメールやメッセージが届いているのがわかる。
「久しぶりですよね。こうやって、何もせずにダラダラしてるの……って、何もしてないわけじゃないですけど」
 ガバッと大河内がベッドから起き上がったので、神戸は揺れるベッドの反動で転がる。
「急に動かないでくださいよ、もう」
 文句の一つでも言おうとしたが、こちらに背中を向けて仁王立ちになっている大河内の背中から尻、太ももの無駄のないラインが眺められる絶好のチャンスと気づいた途端、不満は霧散する。
 今、目の前にある線的なラインがそのときにはどんなに艶めかしくくねり、恍惚の快感を与えるかを知っているのは、今となっては神戸だけだ。

更新日:2020-04-27 13:54:20

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【相棒ss】炒飯(神戸と大河内) R-18