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ニュー・ロマウは悩む

 私の名前は『ニュー・ロマウ』……十七歳。あの馬鹿が十八歳とは理不尽よ。何であの馬鹿が勇者で私がそうじゃないの。セミプラチナピープルとして私は勇者に成るべきなのに……理不尽よ、こんなの!

 そうしてあいつとの最初戦い、敗れて以降は益々私は勇者に成ろうと焦り始める。何をやっても結局上手く行くあいつとそうでない私の差は一体!

 そうする内にあいつには胸が大きくて可愛くて健気な巫女の『ピュア・シナップス』が仲間に入る。続くようにエロがっぱで然もモテるという軟派な『ソリッド・レイカーム』が仲間に成るわ。こっちなんか慇懃無礼で意味不明な事を平気で言って来る空気読めない空気化が異能の『ゴースト』とかいうシルバーピープルと同行するという理不尽な目に遭うのよ。可愛い子ちゃんに更には喧嘩する程仲良く成れるエロがっぱ……理不尽よ、こんなの!

 其れから暫くあいつは日国に舞台を移し、私は欧国を舞台にして活動する事に成ったわ。其処であいつはエロがっぱソリッドの恋人で我が儘を地で往く『ミュウ・サスライガ』を仲間にするのよ、数の上でも私はあいつに負けるというの、理不尽極まりないわ。こっち何か折角探した勇者の嫁でソリッドの祖母『ユィーレ・レイカーム』は腰痛を患うなんて致命的な弱点を抱えた齢七十の人の介護を押し付けられる始末なのよ……技術は凄いけど、こんなの理不尽よ!

 そんなこんなであいつは訳わからん行動に出て那国に連行された先で『ドーズティン・リンシャン』というクジンシの大学で学生をするインテリを仲間にしながらも更には脱獄先の近くに在った便衣兵だらけの村で米工作員にしてエルフの里の生き残りの一人『リューナ・リュンネ』とも行動したわね。リューナさんは任務の関係上、直ぐに分かれたけど。一応私もドーツにて英雄『ノートン・ガーズ』さんを何とか戦場に復帰させたわ。ブランクが如何であれ彼の力は心強いのよ!

 そんなこんなであいつだけ五人パーティー、私は未だ四人パーティー……然もあいつは気が付けば日国独立の功労者として讃えられるように成る。一方の私はあんな奴の別動隊呼ばわり……そう、エギルにて謎の盗賊『イドゥム』さんに依って日国へと舞台を移してゆくわ。其処で私があの陰謀組織『干支』の首魁『ロクシス・トジャクロン』を倒せれば事態は好転すると思っていた……でも無理だった、あいつの掌に踊らされてイドゥムさんが助けに来る迄は牢に閉じ込められる始末よ。何で私のやる事は成功しないのよ、こんなの不公平よ。あいつは次々と助ける上に日国の皇帝陛下に対しても無礼に近い態度で臨んで気に入られるのだから……空気読めなくて馬鹿の癖に何であいつは上手く行くのよ。

 で、でもパーティーメンバーの上であいつに勝ってる。で、でも公平なユィーレさんのせいで五人のみで二度もあいつ率いるパーティーと戦い、二連敗よ。おまけに一回目の時に私はあんな馬鹿に……なのにあいつは恋愛にも疎いせいで私の気持ち……じゃなくて悔恨を全然理解しないのよ。其れにあいつと私……同じマーレイド出身なのに全然状況が違うのも更に敗北感を味わうのよ、いや負けてなんかいないんだからね!

 そんなこんなでユィーレさんとは欧国に送った後は黒国にて私はゴーストに近い慇懃無礼だが少し面倒見が良いビースト戦士の『ボーガル・チーター』を仲間にして黒国、米国、更には欧国と舞台を移しながら自分なりに行動するわね。

 一方のあいつだって日国に戻った後は『十二支』の一人『カズーロ・グーチェ』を打倒して本当の意味で日国の独立を果たしたわ。悔しいけど、十二支の一人を打倒しただけでも認めるしかないわね。
 でもあいつを含む五人は全然気付かない……カズーロを倒した事で十二支で最も強い存在が次の刺客として送り込まれた事を……え、あの馬鹿の名前だって?

 『オールド・イノベイター』よ、何であいつが十八歳なのよ!

更新日:2020-06-05 18:02:18

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