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引き金と銃口①/奇策~麻衣、間断を許さぬ次の一手へ

その1
真樹子



はっきり言って疲れてる

寝てていてーよ、半日くらい

そんな気分だわ、実際…

だが、そんな”気分”にケンカを売るかのように、私は24時間戦士さながらのテンションで”激走”してる


...



やっぱ火の玉川原っての、無理があったかな

風…、強すぎで、会話なんねーだろ、これじゃ…

アハハ…


...



「真樹子さん…、来られたようですよ、あれ…!」

そのようだわ

まあ、”ここ”でやるっきゃないか…


...



「いやあ、遠路ご苦労様です。あの…、波沢さんっすかね…」

「ええ。岩本さん?」

「はい。岩本真樹子です!」

「ああ、波沢丈一の妹、波沢丈子です。岩本さん、会いたかったですよ!」

丈子さん、両手で私の右手をむんずと握ってきたわ

「はは…、今日はあいにくの強風で…。こんなことなら、ベッツに来ていただければよかったですね」

「いいえ!ここ、ここですよ!その昔から情念の丈を懸けて、女が決闘の場とした伝説の聖地ですもの。来たかったから、ここに…。みんなー、ここがかの有名な猛る女、伝説の源泉地だよ!しっかりり見届けなよ!」

はは…、このくだりはみんな美辞麗句してくれんで、地元もんとしては嬉しいよ、そりゃ

だけどね…

こんな川原、どこにでもあるって…


...



「…岩本さん、あなたの志、しっかと受け止めましたよ。私らは合田さんが南玉連合を継いだと聞いて、身を振わせて臨んでいたんです。でも、内部的調整とかってことで、待ちぼうけでした。まあ、大所帯の老舗組織だ。そりゃ、大変ですよ。わかりますよ、私も。合田さんだって、今までみたいに言いたいことガンガンで済む立場じゃない。でもね、後に続く私らには、間が”魔”なんです…」

丈子さんは、早口でまくし立ててるが、言葉の端々に情熱を感じる

「…その気になれば、1分で普通の女の子に戻っちゃえる。だから、”洗練”が必要なんです、私らには…。岩本さん、女には時間がない。違いますか?」

「違いません!丈子さん…、あなたの思いの丈は私が本郷麻衣、そしてその同志にがっつり申し伝えますよ。合田総長は、紅丸さんの抜けた紅組に洗脳された南玉連合の、ふやけた幹部どもに気兼ねせざるを得ない状況下に曝されてる」

ここで私は怒涛の勢いで演説をぶった


...



「…私たち、東京と埼玉の都県境急進勢力は、それら病根どもから赤塗りを広める熱い理念を持ち続けてきた、合田新総長をすくい上げる決死の覚悟で、この夏に期している。ぜひ、呼応いただきたい!」

「岩本さん!こちらこそですよ。今度はハマへお越しください。兄にも会っていただき、今日の熱弁をお願いします!私らで変えて行きましょう、岩本さん!」

「ええ、丈子さんの心の遥かは合田荒子、そして、我が都県境の変革児、本郷麻衣にしかと届けますから」

強風の中、普段の3倍近い音量で、私たち二人は心臓バクバクでの火の玉会談を終えた






更新日:2020-02-13 22:43:33

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麻衣ロード、そのイカレた軌跡/一斉発熱の夏へ