• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 2 / 2 ページ

2020/2/12 緑色

うるさい口。
うるさい口。

『あの髪の色、■■■■■■■■■■』

うるさい口。

『ここ最近の女王様は■■■■■■■■』

うるさい口。

『好物が■■■なんてまるで』

うるさい口。

『あの顔立ち■■■■■■■■■』

うるさい口。

「口縫い刑に処しておしまいなさい」

泣き喚くゴミ。さっきまで彼女を侮辱したその口は、今では自らの命乞いに余念が無い。
僕が近づくと、皆逃げようとするんだ。
法廷に傍観席なんてない。手足も既に拘束されて、どこにも逃げられないっていうのにね。
なぜ傍観席がないのか?
だって、彼女と僕だけがいればそれで十分だろう?

"私は緑色が好きなの"
昔、城の庭園で、無邪気に、僕にそう話した彼女。
あの頃の君は、■■■■■■
ああ、いけない。これについて考えてはいけない。
この国の女王である君が、実は■■■■■■■なんて。
君の顔立ちも、好きなものも、髪の色も。
そんな物は関係ない。
君は、この国の女王なんだから。

僕は微笑を浮かべながら、目の前の口に、ブスリ。針を刺す。
法廷に響き渡る絶叫。
ああ、うるさい。耳障りだ。
すぐに僕が何も喋れなくしてあげるから。
何人でも、いくつの口でも、全部僕が縫ってあげる。

針に通っている糸の色は緑色。


すべては君のために。







































「ねえ、××。そのゴミで、この国の人間は最後なの」
「この国にはね、もう私とアナタしかいないのよ」
「ねえ、最後の私のお願い、分かるわよね?」

勿論、女王様。君のためなら。


僕の口は緑色の糸で綴じられた。
君の大好きな色。


「素敵、素敵よ、××。愛しているわ」


君の瞳が三日月形に細められる。
ああ、なんて美しいんだろう。



僕は、この国1番の幸せ者だ。



更新日:2020-02-12 00:01:35