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2020/2/11 ココア

「あ」
肩が棚にぶつかって、棚に乗っていた袋が落ち、ココアの粉が床にぶちまけられた。
甘ったるい香りが部屋に充満する。

ああ、アイツの香りだ。いつも、そのソファーでココアを飲んでいた。猫舌なのに、毎回沸騰したお湯で作るもんだから、しばらくの時間、ココアは彼女のホッカイロと化していた。
毎回それをやっているのがあまりにも馬鹿すぎて、聞いたことがある。

──なんで毎回そんなに熱いお湯で作るの。
──××くん、知らないんですか?熱いお湯で作らないと、ココアの粉が溶けきらないんですよ。
──粉入れすぎなんだろ。
──何言ってるんですか。たくさん入れた方が美味しいじゃないですか!

アイツはいつも、沸騰したてのお湯に、袋に書いてある粉の目安量なんて気にせず、ドバドバ粉を入れるのだ。

ドボドボ。
ドボドボ。
ドボドボ。

酸性洗剤に、アルカリ性の洗剤を混ぜるだけ。
そう、たくさん入れた方がいい。できるだけたくさん、あるだけたくさん入れるのだ。


「待ってて、今すぐお前のところに行くから」



更新日:2020-02-11 23:46:30