• 1 / 8 ページ

1・序章~その世界~

その世界は自然に満ち溢れていた
その中でも一際目立つのが巨大で大きな森だった
大陸の1/6を占める中央に位置するその森は
とにかく何でも大きく
世界中に恵みと恐怖を与えていた

この森の生き物は
この森でしかほぼ生きられなかったため
他へでてくることはまずなかったが
そこにも人は住んでいた
特殊な環境で生き
特殊な森の素材を外へ運び
文明を森へ持ち帰り
その者たちは生きている

人々はいろいろな意味で感情で彼らの種族をforestと呼んだ




草の茎から伸びる葉と葉を2人の若者が飛んで移動する
背中にはそれぞれ一つでかい木の実を抱えている
草と本来言われる植物が木々のように生い茂り
本来の木々は杭を無くして登ることは不可能な太さ
光はforestの生活には基本的にない
木々が深くさらに草が生い茂る
木漏れ日を差すところは住居が作られ
それが彼らの基本的に昼夜を知る場所だった

森の出口にでるといきなり開ける
二人は眩しそうに天を仰いだ
透き通る青さの空が眩しい
「さて、今日はここで野宿だな」
一人が苦笑する
「なら一歩入って森の草の上のが安全だろうに」
「俺はこの世界の焚き火が好きなんだよ
森の中では絶対的に使えん。木漏れ日をその為に探すのは一仕事だしな」
そう言って火を起こし始める
外から貰ってきた火付け石というものを利用する

二人は木の実売人だ
背中には1つの実しか抱えてないが
これを割りくりぬいて中身をグラムで売るのだ
forestの森の果実は実に珍味で美味しい
しかるべき街へ行けば小1時間で売れる
もっと運びたかったが森が物理的に
台車などを使えなくしていた

深い森の大きな木々は光を通さぬ中で
底なし沼のような形状を模していた
船のようなもので渡ることは可能だが
それよりは木の実一つで外へ運ぶのを繰り返したほうが効率がいいのだ

とりあえず森を背に開けた草原で二人は夜を明かした
森を背にしていれば草原の生き物は寄ってこないことを
ふたりはもう気が付いていた

1fin

更新日:2020-01-04 16:10:17

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook