官能小説

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飛び出せ!小陰唇

 貴族達の定例会にフローラは姿を現した。これは、大掛かりな社交会のようなもので、普段互いに交流することの少ない貴族達の祭ごとだった。
 強大な魔力を持つ貴族達に恐れるものはない。唯一、没落貴族が面倒ではあったが、その時には協力して打ち倒してきた。警察なども不要だった。謀反するものは思いが相貌にたちまち現れてしまうのだから、隠しようもない。
 フローラの髪の色の変化は人々の注意をもちろん引いた。一見して悪い変化でないことを人々は認めたが、それは即ち、フローラの何かが進歩向上したと認められたことでもである。
 人の注目を集めたと感じたフローラは、折を見て会衆に発表した。
「皆さん、ここで幾つかの提案を致しますことをお許しください。そして、願わくはお認めいただきたいのです。私は貴族として、世界にもっと関わりたいと願ってきました。しかし、その糸口が見えずに来ました。それを私はついに見つけたのです。」
 会衆は黙って耳を傾けた。フローラは続けて
「まず、男性の囚人ですが、彼らの処分を私に任せていただきたい。私は彼らを下層民のところへ置き、妊娠させるという職務を与えて生かしめたいのです。女性囚人も、死刑は取りやめ、何らかの善処の方法を考える所存です。」
 会場に異論は無かった。囚人を排除できるなら、貴族には何でも構わなかったからである。
「次に、魔法で人工的に島を幾つか作ります。ここを、生き物の新たな居住地、または家畜の育成地、もしくは食用植物の栽培地とし、現在起こっている生物減少の問題を緩和します。」
「それは名案かもしれないし、神々の怒りを招くかもしれないね。」
 初老の男性が言った。フローラは
「これができるのは、魔力の強い私たち貴族しかいません。神々が万象の平和を望むのであれば、踏み出す価値があります。」
 男性は腕組みをしたが、何も反対しなかった。
「次に、下層民の子供を教育します。下層民として生まれても、早くから環境を別にすれば、階級は変化する筈ですから。」
 若い女性が
「それは一体誰が?」
「私が行なうつもりです。簡単だとは思いませんが。」
 ご自由にという素振りを女性は示した。
「最後に、人間の狩りを、駆除含めて一切禁止し、コミュニケーションを図るつもりです。人間の知能は高く、下層民に劣らないでしょう。種が互いに良い関係を築くことを、まず人間と始めたいのです。」
 高校生くらいの少女が
「種というと、いずれは他の動物ともそうなる事を考えるのですか。」
「はい。いつになるか分かりませんけれど、私たちは元は一つ、神々とも一つだったと教わりました。ならば再び一つになることを目指すのは、平和の道でしょう。」
 少女はにこりと微笑んだ。
 青年がここで質問した。
「ところで、例の未知なる魔法、神々の召喚とも言われたあの事件ですが、何かご存知なのですか。あなたのご様子の変化と関わりがあるように感じます。」
 フローラは
「はい。あの姿はまさしく神々でした。その魔法は、別世界の住人のしたことです。私たちの魔法とは大きく違っていますが、神々を召喚する呪文が公開されているそうです。」
「公開? 本人のみ有効な名前でなく?」
 一同の興味をこれこそが引いた。
 フローラは
「呪文は南無阿弥陀仏です。南無阿弥陀仏。」
 すると、天が開け、厳かに紫紺の空間が現出した。
「南無阿弥陀仏」
「南無阿弥陀仏」
 感動した貴族達が口々に念仏を唱え始めた。
 巨大な仏の姿が茜色の光に包まれて現れた。両脇にはまた、それよりは小さい、しかし威厳ある二体の菩薩が姿を見せた。
「神々から顕現されるとは!」
「み姿を拝見したのは初めてだ。」
「南無阿弥陀仏!」
 定例会は、喜びと熱気のうちに終了した。フローラは拍手をもって賞賛された。

更新日:2020-01-03 02:40:36

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