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四郎、動き出す
人間は週に一度、つまり七日に一度は、狩猟と採集に出かける。採れたものは山分けし、次の時までを過ごす。しかし、男性不足のため、狩猟はほんの少しの漁労や昆虫採集に限られていた。今や、人間は植物中心に食事を取らざるを得ない状況だった。当然、採れるものは次第に少なくなる。
「俺はお前らと違ってあんまり食べないからいいけどさ、冬はどうするの?」
四郎が聞くとヒュアキンテが
「冬って?」
この世界に冬はなく、常春なのだそうだ。子供だけでも生活できるとは、長閑なものだと四郎は思った。
「頭、痒い。」
ヒュアキンテの髪の中に隠れている四郎は
「洗ってくれよ。すごく臭いぞ。女臭い。」
ヒュアキンテは
「四郎が好きだと思って。」
「この辺、何にも見つからない。」
ローザがため息と共に呟いた。
「この奥、行ったことないよね。蜂の子が採れるかも。」
どんどん斜面をローザは登り、ヒュアキンテが後を追った。随分歩いたのに、採れたのは茸ばかりだった。
「もっと日の当たるところじゃないと。」
ヒュアキンテは言って、目を見張った。下方に見晴らしのきく斜面からヒュアキンテの見たものは、妖精の耕作地だったのだ。
「わっ!」
ローザが足を滑らせた。転びはしなかったが、走って斜面を下っていった。ヒュアキンテが追いかけた。二人の足が止まった時には耕作地の中だった。
「早く帰ろう!」
ヒュアキンテが言った直後、銛のような物が数本現れ、周囲を取り囲んだ。
「何だ、これ?」
四郎が叫ぶとローザが
「妖精!」
「女が二人か。まあ、いいだろう。」
リヴィエラが、仲間を呼ばずに駆除に駆けつけていたのだった。
「仕留めるのに手間取るかな。なにしろ金玉がないからね。まあ、おっぱいのある大きな方からやろうか。」
銛は、身構えるヒュアキンテに狙いを定めた。
「いや!」
「お姉ちゃん!」
「俺はお前らと違ってあんまり食べないからいいけどさ、冬はどうするの?」
四郎が聞くとヒュアキンテが
「冬って?」
この世界に冬はなく、常春なのだそうだ。子供だけでも生活できるとは、長閑なものだと四郎は思った。
「頭、痒い。」
ヒュアキンテの髪の中に隠れている四郎は
「洗ってくれよ。すごく臭いぞ。女臭い。」
ヒュアキンテは
「四郎が好きだと思って。」
「この辺、何にも見つからない。」
ローザがため息と共に呟いた。
「この奥、行ったことないよね。蜂の子が採れるかも。」
どんどん斜面をローザは登り、ヒュアキンテが後を追った。随分歩いたのに、採れたのは茸ばかりだった。
「もっと日の当たるところじゃないと。」
ヒュアキンテは言って、目を見張った。下方に見晴らしのきく斜面からヒュアキンテの見たものは、妖精の耕作地だったのだ。
「わっ!」
ローザが足を滑らせた。転びはしなかったが、走って斜面を下っていった。ヒュアキンテが追いかけた。二人の足が止まった時には耕作地の中だった。
「早く帰ろう!」
ヒュアキンテが言った直後、銛のような物が数本現れ、周囲を取り囲んだ。
「何だ、これ?」
四郎が叫ぶとローザが
「妖精!」
「女が二人か。まあ、いいだろう。」
リヴィエラが、仲間を呼ばずに駆除に駆けつけていたのだった。
「仕留めるのに手間取るかな。なにしろ金玉がないからね。まあ、おっぱいのある大きな方からやろうか。」
銛は、身構えるヒュアキンテに狙いを定めた。
「いや!」
「お姉ちゃん!」
更新日:2020-01-03 02:34:03