官能小説

成人向けコンテンツについて
R-18

ここから先は未成年にふさわしくない成人向けの文章が含まれています。

18歳未満の方、もしくはこのような小説を不快に感じる方は「入室しません」を選択してください。

上記の内容に同意される場合のみ「入室します」をクリックしてお進みください。

  • 15 / 28 ページ

四郎、動き出す

 人間は週に一度、つまり七日に一度は、狩猟と採集に出かける。採れたものは山分けし、次の時までを過ごす。しかし、男性不足のため、狩猟はほんの少しの漁労や昆虫採集に限られていた。今や、人間は植物中心に食事を取らざるを得ない状況だった。当然、採れるものは次第に少なくなる。
「俺はお前らと違ってあんまり食べないからいいけどさ、冬はどうするの?」
 四郎が聞くとヒュアキンテが
「冬って?」
 この世界に冬はなく、常春なのだそうだ。子供だけでも生活できるとは、長閑なものだと四郎は思った。
「頭、痒い。」
 ヒュアキンテの髪の中に隠れている四郎は
「洗ってくれよ。すごく臭いぞ。女臭い。」
 ヒュアキンテは
「四郎が好きだと思って。」
「この辺、何にも見つからない。」
 ローザがため息と共に呟いた。
「この奥、行ったことないよね。蜂の子が採れるかも。」
 どんどん斜面をローザは登り、ヒュアキンテが後を追った。随分歩いたのに、採れたのは茸ばかりだった。
「もっと日の当たるところじゃないと。」
 ヒュアキンテは言って、目を見張った。下方に見晴らしのきく斜面からヒュアキンテの見たものは、妖精の耕作地だったのだ。
「わっ!」
 ローザが足を滑らせた。転びはしなかったが、走って斜面を下っていった。ヒュアキンテが追いかけた。二人の足が止まった時には耕作地の中だった。
「早く帰ろう!」
 ヒュアキンテが言った直後、銛のような物が数本現れ、周囲を取り囲んだ。
「何だ、これ?」
 四郎が叫ぶとローザが
「妖精!」
「女が二人か。まあ、いいだろう。」
 リヴィエラが、仲間を呼ばずに駆除に駆けつけていたのだった。
「仕留めるのに手間取るかな。なにしろ金玉がないからね。まあ、おっぱいのある大きな方からやろうか。」
 銛は、身構えるヒュアキンテに狙いを定めた。
「いや!」
「お姉ちゃん!」

更新日:2020-01-03 02:34:03

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook