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その2

その2
麻衣



昨日、やっと病院と警察から解放されてきた

今、私はリッチネルの最上階で、倉橋さんに抱かれている

最初はこの人、拍子抜けするほどソフトだったけど、さすがに今日なんかは荒々しいわ

何てったって、”撲殺人”で恐れられている人だもん

まだ、こんなもんじゃないだろうさ

ふふ、遠慮してるのね…、優輔さん

私のこと、いまだに


...



「麻衣ちゃん、剣崎さんには知られてる。おそらくトップの矢島さんも承知だろう。俺は腹くくっているが、君が今度何かやらかせば、そこで動くよ、間違いなく。もう、君にも容赦はしないはずだ」

「そう…。で、もうおとなしくしてろって、そういうことなの?」

「俺が言ったところで、一旦自分の決めたことに変更はないんだろう?そんなこと知ってるよ。ただ、現状を話したまでだ」

「それならひとつ聞くわ。私がなにもしないとしてよ、このまま倉橋さんとこういう関係続けてる分にはどうなの?」

「微妙なところだ」

「剣崎さんだけならセーフだけど、矢島さんとなるとアウト―!こういうこと?」

「まあ、そんな感じだ、だいたいは」

「剣崎さんが矢島さんを説得できるかどうかってことね?」

「ああ、そうだな、行き着くとこは」

「それが、また私が騒ぎを起こせば、もうその余地もなくなるから、どっちからもアウト―!ってことか」

「そうだ」

ふんふん…、そういうことね

ならばと…

倉橋さんにはこの際、ビシッと聞いてやるか


...


「ねえ、”それ”考えないでよ、倉橋さんは私とはこのままでいたい訳?それともガキは飽きたから、頃合いみてバイバイしたいって思ってるのか、どっち?」

「俺は続けたい。だが、勘違いすんな。君をガキだと思って抱いたことはない。惚れた女としてだ」

あらまあ、ずいぶんスンナリきたわ!

「まあ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。ならよ、倉橋さん。あなたからしたら、私がもうおイタせずこのままの関係なら、一番都合いいってことなんじゃない?身の安全も含めて」

「そうだな。否定はしないさ」

「私の意見言っていい?」

「言ってくれ」

「つまんない。そういうことよ」

「ハハハ…、相変わらずだな、麻衣ちゃんは。いいさ、君のやりたいようにやれ」

「いいの?私がまた今までみたいなら、あなたは殺されるのよ。身内に」

「だから最初に言っただろ。覚悟してるって…」

キッパリだったわ、この人…

決まったわね、これで


...



「やっぱり倉橋さんは違うわ。素敵よ。なら、スキにやらせてもらう。まあ、気分だから、どう転ぶかわかんないけど」

「はは…、まるで君は死んだ相馬さんの移り変わりだな。血のつながり超えてるよ、ここまで来ると」

「褒め言葉と受け取るわ。でね、あなたにもその”素質”あるわよ。だから好きになったと思うし。”最後”まで刺激的にやりましょ」

「”最後”までか…(苦笑)」

「ああ…、そんで、言っときますよ。私のイカレ具合はよく承知でしょうけど、いきなり行きますから。あなたにも私の行動は事前に話すことはない。無論、”最後”まで音なしもアリよ。私の一挙一動は予測不可能ってことでね。知りたかったら、監視でも尾行でもどうぞ。まあ、剣崎さんは抜かりなくってとこでしょうけど」

ここまで話すと、私は勢いよくベッドから出た

「シャワー浴びたら今日は帰るわね」

倉橋さんはベッドでタバコを咥えたまま、「ああ」とだけ答えた




更新日:2019-11-28 01:03:34

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