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誘拐

埼玉県・N市。
乃亜と晶は町の中心部にあるショッピングモールに来ていた。
「晶。待ち合わせ場所はあの店の前だな? 相手はまだ来てねーようだが…」
「まだ待ち合わせ時間には早いからねぇ。せっかくだからジェラート食べて待とうよ」
2人はジェラートを買って近くのベンチに腰を下ろした。
「今日はいい天気だね〜」
「おい晶。ちゃんと相手は来るんだろうな? まさかバックれたりはしねーよな?」
「大丈夫だよ。ちゃんとアポは取ったし。なかなか面白そうな娘だったよ?」
「今回は勝つ! ゼッテー勝つ!」
乃亜は鼻息を荒くした。
「乃亜ちゃん6連敗中だもんねー? そろそろ初勝利欲しいとこだね」
「うるせー」
2人がじゃれ合っていると、
「あなた達がわたしに連絡して来た魔法少女さんですかぁ?」
小柄なセミロングの少女が2人の前にやって来て言った。
「あなたがくるみさんですか?」
晶が尋ねる。
「そうだよー。魔法少女くるみだよー」
屈託無く笑うくるみに乃亜は拍子抜けしてしまった。
「おいおい…こいつが今回の相手かよ? いくら連敗続きだって、これはちょっと…」
「乃亜ちゃん、魔法少女を見た目で判断しちゃいけないよ。あ、くるみさん、場所を変えて話をしませんかぁ?」


3人は人気のない公園にやって来た。
「…なるほど。だいたい話はわかりました。つまりわたしに乃亜さんの修行相手になって欲しいと言う事ですねぇ?」
くるみはすぐに話を飲み込んだ。
「話が早くて助かるよー」
「殺してもいいのですかぁ?」
くるみはニコニコして言った。
「あ?」
乃亜は険しい顔でくるみを睨みつけた。
「魔法少女の戦いは基本的にデスマッチだからー、殺してもいいんだけど…今回は半殺しでお願いしてもいいかな?」
「晶!」
「わかりましたぁ。では周囲に結界を張りましょうね。騒ぎになるのはイヤなのでぇ」


乃亜とくるみが向かい合う。
「わたしは絶対正義魔法少女! 倉島乃亜! 16歳!」
乃亜が叫ぶ。
「わたしは緑のふわふわ魔法少女のくるみですぅ。乃亜さん…あなたあまり強くなさそうですねぇ?」
くるみは静かに魔力を開放した。

更新日:2020-01-11 01:52:22

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⑨魔法少女バトルロイヤル・王道