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第1章/パンデミック・イン九州④

パンデミック・イン九州④



『…ああ、和田さん。早速、連絡をいただきましたね(苦笑)』

「どうやら、予想されてたみたいですな。今日のニュースが流れれば、俺か奈緒子さんがそちらへ”問い合わせ”すると…(苦笑)」

『まあ、奈緒子さんはまだですが、おそらくあの報道を知れば、あなたと同じことを考える。何しろ、まずは”その通り”ですよ、和田さん…』

「じゃあ、少なくともあなたは現時点で、鬼島の例の手紙による呪いが原因でって捉えてるんですね。国上さんも…」

『そうです。間違いなく、鬼島則人の放った呪いの伝達装置はまだ機能していた…。要は、くびれ柳を駆逐しただけでは、ヤツの呪いは終結しなかったってことになります』

「ふう…。心の奥では多分そんな可能性は低くないとは思ってはいたが…。何ともですよ、鷹山さん…!」

和田のショックというか落胆というか、そのやるせない心中は、この一言で電話越しに鷹山の胸ヘストレートに届いたようだ。


***


『和田さんの気持ちは、こっちにもズシリと伝わってきますよ。でも、どうなんだろうか…。三浦美咲を鬼島の呪いから救い出し、くびれ柳を事実上葬った。その結果、今回の九州は確かに深刻な事態だが、少なくともくびれを役立たずに持って行けたんですよ』

「…」

『…もし、くびれ柳があのままだったら、呪いで自殺に追い込まれていた人間の命を、そのことで数多く救ったってことにもなるんです。…私はそこで割り切っていいと思うし、そうであって欲しいとも思います。どうですか、和田さん?』

和田には、鷹山の気持ちがいやというほどわかっていたが、彼は正直な心の内を吐き出すのだった…。







更新日:2019-11-07 17:05:12

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