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その8

その8
剣崎



矢島さんは既に察しているようだった…

「なあ、剣崎よう…。業界じゃあ、若が急死して、相和会内では跡目争いの内部対立が起きてるってもっぱらだろう。特に関東の東龍会だ。連中は、会長の健康面を視野に入れて、今から揺さぶりをかける腹だぜ」

やはり矢島さんも、”ここ”に目が行っていたんだ

言うまでもなく、ライバルの建田さんもだろうが…

...


「その際、傘下の星流会を向ける。おそらくな。剣崎、その切り口は何だと思う?」

「ガキを全面に押し出して、我々の縄張り内へ介入してくのではと…」

「ああ、俺もそう見立ててる。でよう、その砂垣とかってハンパもん、その後どうしてるんだ?」

「諸星さんの保護下で愚連隊を仕切ってます。星流会が我々に向かって来る際は、ガキの先頭にはコイツを持ってくると思います」

「ならよう、そこで突破口が開けりゃ、坂内さんが動くってことだな」

「自分もそう見てます」

「会長もなんだな?」

「たぶん、そのようです」

ここで矢島さんと俺の見据え先は定まったと言える


...


「よし…。何しろ剣崎、その娘たちの方は、”うまく”やってくれ」

「承知しました…」

「…本家には明後日入ることになってるから、会長には今日のお偉いさんの話は報告するが、お前からも事前に頼む」

「わかりました…」

ここで俺は室を出た

県警と権力側からのシグナル、そして会長が血縁に仕立てた少女二人…

なんの脈絡もなさそうに見えるこの二つの軸こそ、相馬会長が他界した時、ひとつの方向で結びつくことになる

俺は漠然とながらそう直感した





更新日:2020-07-23 20:31:14

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