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その6

その6
麻衣



私は主だった先輩に挨拶を済ませ、ドッグスの陣についた

湯本敦子先輩、相川夏美元補佐、OG、OBの面々…

そしてその後、幹部が続々、川原に到着した

木戸真澄先輩は、腹心の恵川いづみ先輩と一緒だ

うーん、あの二人、ここから見ても、”超”上機嫌だ

続いて、前総長の刃根達美先輩がやってきたぞ!

さすがに、凄い歓声だわ…

ああ…、テントの前で盟友の相川前補佐と抱き合ってる

みんな拍手だ

で、私もドッグスのメンバーも拍手だ


...



おお‥、矢吹鷹美新補佐がお目見えだ

ほー、取り巻きは1、2、3…

うわあ、6人いる

この人は黒沼じゃあ、一般生徒から神格視されているらしい…

荒子さんとは、また違ったカリスマを備えてる傑物なんだろう

さあ、その新総長、合田荒子さんが姿を見せたぞ

こっちは取り巻きというより、”軍団”が土手上まで駆け上がり、出迎えた後、一緒に降りてくるよ

まあ…、何とも圧巻だわ


...



ついに”この場”にたどり着いたんだ

紅丸さんは本意ではなかったようだが、あの人の”赤塗り”がなかったらこのような場はない

見てみろ!物凄い人数だ…!

ここ、火の玉川原は女、女、女で溢れかえってる…

土手上には、見物人もどんどん増えている

火の玉川原は、まるで地鳴りが轟くかのように、異様な臨場感を醸していた


...



時計の針は5時15分を指している

総集会は5時半ジャストに開会される予定だ

今、主だった幹部はテントの中で待機している

その間、私の元へは様々な人が寄って来てくれてね

それこそ、こっちが全然知らない同級とか、OGとか…

無論、こちらも丁重に挨拶させてもらったよ

私は一度あいさつ程度を交せば、まずその人のことを忘れない

という訳で、今日はまた、”引き出し”の中がぎっしりになったわ(笑)


...



ひと通り、”それ”が終わった後、私は久美のとなりに移動した

「久美、顔こっち向けてみ…」

「え?あ、うん…」

久美の顎の左下あたりからは、少しだが血がにじんでいた

私はバンドエイドを取り出し、久美のそこへ張った

「麻衣…」

「久美、今日は頑張ってくれたみたいだな。ありがとな」

「麻衣!私…」

久美は両目に左腕をあてて泣いていた





更新日:2019-09-26 22:51:51

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