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その7

その7
砂垣



その夜、自宅に”あの人”から電話がかかってきた

「おお、順二か…」

「あっ…、諸星さん、ご無沙汰しています」

予想はしていたが、さっそく来たか…

諸星さんはすぐに用件に入ったわ


...



「…あの小娘のことは承知だな?」

「はい…」

「お前、麻衣と組んでるのか?」

「まあ、俺のスタンスは大打の侵攻は阻止するってことなんで、方向性では一致してますが…」

「柴崎が麻衣に付いてるらしいが…」

「バグジーも大打のやり方を認めていませんから…。それでだと思います」

「…いいか、順二…、本郷麻衣は相和会と一体になって行動してんだ。お前、引いた方がいい。今日はそれだけ言っておこう」

「あのう、親分…、俺はずっとよくしてもらったんで。できれば大打とは、切れた方が…。あの、俺…」

「バカヤロー!余分な口、出すんじゃねえ。そんなことよりテメエのこと、心配しろ」

電話での話はほんの2分程度で終わった


...



諸星さんの声の様子からすると、かなり緊迫した状況が覗えた

ひょっとすると、俺にも身の危険ってことがあり得るのか?

それで、諸星さん個人として警告してくれてるとか…

そして…、その答えはこの2時間後、一本の電話で知ることとなった


...



「順二さん、大変よ!」

「優子、どうした、こんな時間に…」

「後輩の子二人、さっきまで”連中”に監禁されてたんだって。今、私の家に来てるわ」

「何だって!」

「髪の毛掴まれたり突っかけられた程度で、それ以上の暴力は振るわれなかったそうだけど…。大場さんが、まだ捕まってるらしいのよ…」

なんてことだ!

「優子、とにかく今すぐそっちに行く。警察とかにはまだ知らせるな。二人に話を聞いて、それからだ」

「わかった。待ってるわ」

午後10時過ぎ…、俺は優子のアパートに向かった






更新日:2019-09-19 14:55:41

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