• 1 / 326 ページ

最後に悪が滅ぶ……そうだと信じたい!

「……って事はつまり、世界は幾つも在るって言いたいのか?」

「ああ、そうだとも。お前みたいな自己中心的な人間の屑にはわからないだろうけど俺は知ったんだ。何処で其れを知ったのかはわからない。太陽系の外に移る星々が未来の俺達の世界だとかか此の俺達の世界だとか或は並行世界の俺達の世界だとかは関係ない。マジでそう思うように成ったんだ……記念に此奴を渡すぞ」

「要らん、そんな塵屑を」

「壊れたんだよ、壊れたもんを捧げる訳には往かん」

「だったら廃品回収車に放り投げろよ!」

「其れも納得がいかない。俺はお前に此れをあげるんだよ。記念だぞ、こうゆう話を聞くのは此れが最後かも知れないんだぞ」

「大体、唐突じゃないか……『ディジィ』。其のスクラップとさっきの話と如何連関するんだよ。まるで水と油みたいに混ざりっこないぞ」

「確かに水と油は混ざらない。だからカップ麺を食べた後に其のカップに水を溜めるとしつこい油が浮き出して来る。其処で洗剤をささっと掛ければ……」

「んな事は知らん、俺が聞きたいのは此の針が動かない時計とさっきの話が如何繋がっているかって聞くんだよ!」

「ヴェイダー、俺は決して諦めたりはしない。何れ此の世界に光が差し込まれる日が訪れる。今は見えない何かに依って暗雲へと転がり始める。バルマーは何れとんでもない事をしでかしに来る。そうすると俺が折角引き取った二人の身も危険に晒してしまう。勿論、大事な親友にも苦労を掛けてしまう。其処で希望として見たのがお前だ。此れは俺の魂を籠めた品だと思って受け取れ!」

「誰が受け取るか、こんな物はこうし……何だ、針が動いたような?」

「針が……危ない、ヴェイダアアア!」

「突き飛ばすな、ディジィ……って、ディジィ?」

「ゴッフ……グフウ、ハアハアハア」

「上半身だけに成ったな、ディジィ。そうすると感覚は如何なんだ?」

「相変わらず血も涙も、無い奴、だ。痛みが走り過ぎ、て、今、にも、ゴッフウ……ハアハアハア、何だろう? 今にも、死に、たいのに、何で、かなあ? 未だ、伝え、足りない、ぞ」

「未だ伝えたい事が在るのか、ディジィ。さっさと死ねよ、血が衣服に飛び散るだろうが」

「グップ……フウフウ、運命は、同じ、かぁ。だが、確かに、其れを、渡した、ぞぉ。渡し、たぞぉ。此、れで、お前は、い、いや、此れで、見えない、奴等の、好きには、成らない、だろう。此の世界、に、希望が、訪れ、る、だろう。ハアハアハア」

「苦しいだろう、死ねば良いのに。確かに専門家に依ると死体は一年間放置しても僅かに動くって報告が在るんだな。其れでも楽な方が良いぜ。なあ?」

「そ、うだな。心残りは、あの、二人が、あの二人の、将来、がぁ……」

「……死んだか、有難く受け取ってやるぞ。まさかこんな風に役立つとは思いもしなかったな。此奴は一体何なんだ? ディジィが不思議がるとは……だが、やっぱり聞きたい。さっきの話と此の時計の関係は……あ、死んでいたな。まあ良い、戦利品としてお前の目玉を食べて……マズッ、カルバニストが何で此れを美味しいと思うのかさっぱりわからん。ペッ……取り敢えず此処は逃げて本部に戻るとするか」

 此れがヴェイダーの過去の一部始終なのです。彼の物語は愈々最終章へと向かいます。果たして未来形悪党物語の終焉は如何ゆう結末を迎えるのでしょうか?

更新日:2020-01-03 22:23:44

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook