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その7

その7


「と言っても、あくまで肌で感じ取ってもらうとこで留める…。それは承知しておいてくれ。あんまり際どいとこまで知られても逆にまずいしな」

「そうですね。こっちが行動開始となった段で、余分なことまでベラベラされたらオウンゴールだ(苦笑)」

「うん…。椎名はよう、東龍会が連れてきた際、”あちらさん”に合わせてればそれでいいさ」

「わかりました。じゃあ、基本的にノボルさんと武次郎は接触しないってことですね?」

「まあ、ハマに戻った時、たまたま顔を合わせたって場くらいは持っておこう。武次郎も同様でな。何しろ自然体で目に触れてもらえば、それで用は足りる」

”坂内さんは、オレ達兄弟には顔を拝ませるだけにしとけって言ってた。逆に、そいつへ大打兄弟のツラは刻ませる必要はあるってことだ。へへ…、オレにはその意味、よくわかるぜ”

ノボルは思わず、”いい”薄笑いを浮かべていた。
そして椎名も…。


...


「了解…。ふふ…、でもそいつ、殺しの現場にも配線作業とかで付き添わされ、その関東直系とオレ達の接点を目の当たりにしたんじゃあ、トラウマになるんじゃないですか?」

「おお、そうさ…。恐怖心を伴ってこそ、あっちのガキどもへはリアルに伝えることができるってことだ。そこが肝心さ」

「それにはチラリズムが効果的ってことか。ハハ…、それでその男、何て名でしたっけ?」

「浅土とかって言ってたな。ダサいポマード頭のチビらしいが、何しろ手先が器用で、東龍会じゃあ何でも屋で重宝してるらしいんだわ。たぶんココの事務所に連れて来たら、東龍会の人がなんかやらせるよ。クロスの剥がれ直しとかな(苦笑)…。で…、その作業中、椎名と東龍会プロパーがさ、そいつの耳に聞こえるようにエグイ会話を交わすと…。どうやら、そんなとこみたいだからよう、よろしくな(苦笑)」

「なるほど…。そういう趣向ですか。いやぁ…、関東の大物組長ともなると芸が細かい(苦笑)」

二人は横浜の事務所で、しばしクスクスと苦笑しあっていた…。

かくて、浅土道也は都県境のガキ世界で、もっとも大打を知る人間となる。
そしてこのことこそ、のちに本郷麻衣が大打グループの懐へ突入する段、その”付き”に道也を抜擢する要因となる…。




更新日:2019-09-14 14:15:00

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