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その4

その4


”参った…。Hの言ってるの、例の紅組だとか南玉連合って女集団ってのに間違いない。大打が駐留していたのが、まさかあの時、木刀で男たちをボコボコにしたあの女達のホームグランドだったとは…”

この年の夏…、バグジーは地元の少女二人に頼まれ、その時点で仕事場でもあったカクテルバーの店内で、彼女らが暴走族との揉め事を話合う場に控えていた。
その席に、彼女たちを後見する立場だった東京埼玉都県境の女集団を代表して調停役として駆け付けたのが、紅組の新リーダーに就任した直後の嵯峨ミキだったのだ…。

...


その時は、結果的にバグジーの出番はなく、嵯峨ミキが力を以って暴走族の男たちとは”ケリ”は着いた。
バグジーは暴走族の男たち複数を相手に、毅然とした態度を貫く果敢で勇猛な彼女に驚嘆した。

そして、そのあと地元の少女たちから聞いた東京埼玉境での猛る女達の話に、彼は強く心を惹かれるのだった。

”いつか、今のような女が巣食うその地へ行って、彼女たちをもっと見たい。それにできれば…”

それはおそらく、バグジーこと柴崎典男の内心に宿る凶暴な女の闘争心が掻きたてられた、その希求する熱い思いだったのだろう…。

”ふう…、ここは少し頭を整理しないと…”

バグジーは実際、頭が混乱していた…。

”まずは、有力やくざ組織とパートナーシップを組んだあの大打が、命までを奪おうとする対象が、”彼女たち”という可能性はあると…。しかも、そうであるとしたら、その請負を自分は大打ノボル本人に打診されたのか…。ヤツは当然、あそこの地の猛る女の一人とオレが接触したことがあるなんて知らないはずだ。そこで、なぜヤツが彼女たちをヒット対象にまで及ぼうとするのか…。その理由だ…”

...


「おい、おい…、だからって、未成年の娘を殺るってのは飛躍しすぎだろうが、H…」

「まあな。だがよう、これもある仲間からの又聞きになるが…。なんでも、大打とくっついてるってもっぱらの東龍会の下のな、星流会と敵対してる独立系の相和会のトップがさ、今回の再編で当事者となった複数の少女に関与していたと…。そんな説もあるそうなんだ。仮にそうだとすれば…、さらに東龍会と大打が通じてるとたらさ、ヤツは非やくざというスタンスで、その少女らとはオポジションになるだろ?」

「ああ、自然に考えればな。でもよう、いきなり命まで取るって必然性とは別物だと思うぜ」

この時のバグジーは、NGを自分から排除した大打ノボルが、せめて”彼女たち”だけは対象にしていないことを願った。
そして、そのことを信じたかったのだ。
何故か…。





更新日:2019-09-14 13:27:05

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