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その9

その9
砂垣


横田競子は、やはりかなり”深い”ところにいたようだ

そう感じたよ

たぶん、建田さんの逮捕、失脚のあたりで何らかの関与を持ってる

ごく普通の、いや、とびきりに純真な高校生だったこの子が…、なんてこったい…


...



「…何でもアリってことで括れば、あり得るって解釈になるよな。と言っても、東龍会なりのGOサインがあってのことになるし、相和会はその辺りを十分、念頭に置いて牽制してるからね」

俺の口調はおびえる子供を包み込むようで、およそこの自分には縁遠い接し方だった

さあ、俺の言ってやれることを素直に告げよう

「俺がここで言っておきたいのはさ、キミ、いや…”キミ達”に於いては、不審な人物からの接触などには、くれぐれも注意を払ってくれってことだ。抽象的なアドバイスしかできなくて、返って余計な不安を背負い込ませるだけかもしれないと思って、ここに着いてからも、キミに告げるのを躊躇っていた。でもさ…」

助手席の彼女は俺の目をじっと見つめていた

そして、ちょっと笑ってから話しかけてきた


...



「いえ、砂垣さんが話してくれたことには、感謝していますよ。あのう…、実は今日ベッツでのお話も含め、”私達”はかなりのことをすでに知っていました。何故かとか情報源とかは、ここでは話せませんが…。ただ、ひとつだけ告げます。カレの苗字、”香月(コウヅキ)”です。それで、今日私が知ったこと、彼には話したいんです。無論、他言はしません。いいですか?」

彼女は落ち着いた口どりだったよ

この子、今日俺の話をどんな心境で聞いていたんだろうか…

やはり、”彼”も深いところに身を置いてたんだよ

愛し合う二人は、身の危険とも向き合っていたってことか…

そう思うと、やりきれないわ


...



「…わかった。細かいことは知り得ないが、キミと彼は一蓮托生って感じは受けてるからな」

「ありがとうございます。それと、彼とは相談した上でですが…、こちらからも知ってること、お話ししなきゃいけないとも思ってるんです。なので、これからも連絡とかはさせてもらいたいんですが…」

「うん、じゃあ連絡先をな…」

俺たちは互いの連絡先を交わした

ふふ、こんな形で女の子の電話番号を受け取るなんてな

俺は手にしたメモに書かれた、意外とデカい字体にしばらく視線を落としていた





更新日:2019-09-11 15:32:57