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その7
その7
ケイコ
そうか…、麻衣は星流会の諸星会長と会っていたのか
「…その直後、倉橋さんと麻衣が婚約したって伝わったんで、正直、諸星さんは麻衣に嵌められたと思ってる。ふふ…、俺と3人での最初の時だってさ、やくざの親分相手でも麻衣のヤロウ、全く遠慮なしで堂々としてたよ。おそらく二人で会った時も、ケンカを吹っかけるくらいのことはしたかもな(苦笑)…」
私の理解だと、その時は相和会との従来の関係は切れていたと思うんだけど…
何しろ倉橋さんと麻衣が気が合うってのは、前々から感じてはいたが、こうも電撃的に婚約があからさまになるのは、私だって予想できなかったよ
もし諸星さんと会った時点で、すでに婚約の件が決まっていたとしたら…
剣崎さんあたりからは、対星流会の役割も担っていたこともあり得るのかな
仮にそうだったとすれば、諸星さんの麻衣への感情は穏やかなものじゃないよな、やっぱり
...
「…この話、ここでひとまず置いておくよ。そんでさあ、また実はってことになるんだけど…」
ベッツでの話は実際、追川さんから聞いて、すでに知ってることも多かったが、それでも次から次へなんで、だんだん緊張感みたいなものも高まってきた
なんか、トンネルをどんどん深いところに入っていく感覚だ
「…ベッツでも触れたけど、この夏に相馬さんが亡くなったことは、あの人たちの”業界”全体が、ある意味ではターニングポイントとして解釈してると思うんだ」
砂垣さんは話の切れ目で、さりげなく助手席の私の顔、正確には表情を伺ってくれてる
思わず目が合って、互いにクスッと笑いあってね
そんで、二人ともカップフォルダーに放置状態だった缶コーヒーに手を伸ばしてた
まあ、かなりディープな話なんだから、一息継ぎながらじゃないとしんどいしね
...
「…なんと言ってもさ、あのカリスマ親分だった相馬豹一がいなくなったんだからね。”もう今までの相和会ではない、もしかしたら切り込めるかも知れないぞ”ってね、普通はそう思うだろ。少なくとも関東は、ならば、関西に先手を取られる前にってはしょっちゃってた。諸星さんが東龍会にネジ巻かれてのはあるよ。その現場、俺目撃してたし」
私は缶コーヒーを口に運んでいた私、思わず吹き出しそうになっちゃった
砂垣さんなりに気を使っての話し方なんだろうけど、その”現場”を想像したら、なんかおかしくなっちゃって…
...
しかし砂垣さんて、よくこんなことまで知ってるっていうか…、これが推測だとしても、ここまでの推測が成り立つ質と量の情報パーツを集めること自体、普通できないでしょ…
私は変に感心して聞いていたんだけどね…
「…でも一方で、これもさっき言った、権力側との強固なパイプはさ、矢島・剣崎ラインで確立できてるのは周知のことだっんで、広域組織は東西で共同歩調を取って、とりあえず新生相和会の囲い込みは積んでおこうとなった。その上で、関東では矢島さんの3代目体制樹立は、クーデターの側面ありと見てるんだ」
この辺から、ベッツでは至らなかった踏み込んだ話に及びそうだ…
トンネルも本格的に暗くなってきた
...
「…仮にその証拠や証人を得られれば、相和会の急所を押さえたことに等しいよね。フン…、その材料探しのお鉢が俺に回ってきたんだよ。あくまでガキを媒体として、相和会ネタの収集せよって、まあスパイみたいなもんだ。本来は麻衣をすっぽ抜ければてっとり早かったんだが、それはダメもとだったし」
うーん…、仮定として剣崎さんが東龍会・星流会のその深意を計れたとしてら、麻衣を遣わしたこともつじつまが合うけど…
ふう…、なにしろ砂垣さんの言ってるように、たくさんの思惑錯綜で読み取り方はいくらでも成り立つよね
基本は各人とも、極力コトを荒立たせないで、より利潤に叶った一歩先を確保したいってことだよね、やっぱりさ
「…まあ、自分で言うのもアレだけど…、俺のポジションはかなり特殊だったんで、意外とネタ元が現れてね。そこでなんだけど…、横田さん、ここではっきり言うよ。その集まった情報の中には、キミの存在が含まれてたんだ」
私はハンマーでたたかれた思いだった
まさに”ガーン”と…
ただショックを受けた感覚が先に来て、私はすぐには誰からとか問い返すところまで気持ちを持って行けなかった
ケイコ
そうか…、麻衣は星流会の諸星会長と会っていたのか
「…その直後、倉橋さんと麻衣が婚約したって伝わったんで、正直、諸星さんは麻衣に嵌められたと思ってる。ふふ…、俺と3人での最初の時だってさ、やくざの親分相手でも麻衣のヤロウ、全く遠慮なしで堂々としてたよ。おそらく二人で会った時も、ケンカを吹っかけるくらいのことはしたかもな(苦笑)…」
私の理解だと、その時は相和会との従来の関係は切れていたと思うんだけど…
何しろ倉橋さんと麻衣が気が合うってのは、前々から感じてはいたが、こうも電撃的に婚約があからさまになるのは、私だって予想できなかったよ
もし諸星さんと会った時点で、すでに婚約の件が決まっていたとしたら…
剣崎さんあたりからは、対星流会の役割も担っていたこともあり得るのかな
仮にそうだったとすれば、諸星さんの麻衣への感情は穏やかなものじゃないよな、やっぱり
...
「…この話、ここでひとまず置いておくよ。そんでさあ、また実はってことになるんだけど…」
ベッツでの話は実際、追川さんから聞いて、すでに知ってることも多かったが、それでも次から次へなんで、だんだん緊張感みたいなものも高まってきた
なんか、トンネルをどんどん深いところに入っていく感覚だ
「…ベッツでも触れたけど、この夏に相馬さんが亡くなったことは、あの人たちの”業界”全体が、ある意味ではターニングポイントとして解釈してると思うんだ」
砂垣さんは話の切れ目で、さりげなく助手席の私の顔、正確には表情を伺ってくれてる
思わず目が合って、互いにクスッと笑いあってね
そんで、二人ともカップフォルダーに放置状態だった缶コーヒーに手を伸ばしてた
まあ、かなりディープな話なんだから、一息継ぎながらじゃないとしんどいしね
...
「…なんと言ってもさ、あのカリスマ親分だった相馬豹一がいなくなったんだからね。”もう今までの相和会ではない、もしかしたら切り込めるかも知れないぞ”ってね、普通はそう思うだろ。少なくとも関東は、ならば、関西に先手を取られる前にってはしょっちゃってた。諸星さんが東龍会にネジ巻かれてのはあるよ。その現場、俺目撃してたし」
私は缶コーヒーを口に運んでいた私、思わず吹き出しそうになっちゃった
砂垣さんなりに気を使っての話し方なんだろうけど、その”現場”を想像したら、なんかおかしくなっちゃって…
...
しかし砂垣さんて、よくこんなことまで知ってるっていうか…、これが推測だとしても、ここまでの推測が成り立つ質と量の情報パーツを集めること自体、普通できないでしょ…
私は変に感心して聞いていたんだけどね…
「…でも一方で、これもさっき言った、権力側との強固なパイプはさ、矢島・剣崎ラインで確立できてるのは周知のことだっんで、広域組織は東西で共同歩調を取って、とりあえず新生相和会の囲い込みは積んでおこうとなった。その上で、関東では矢島さんの3代目体制樹立は、クーデターの側面ありと見てるんだ」
この辺から、ベッツでは至らなかった踏み込んだ話に及びそうだ…
トンネルも本格的に暗くなってきた
...
「…仮にその証拠や証人を得られれば、相和会の急所を押さえたことに等しいよね。フン…、その材料探しのお鉢が俺に回ってきたんだよ。あくまでガキを媒体として、相和会ネタの収集せよって、まあスパイみたいなもんだ。本来は麻衣をすっぽ抜ければてっとり早かったんだが、それはダメもとだったし」
うーん…、仮定として剣崎さんが東龍会・星流会のその深意を計れたとしてら、麻衣を遣わしたこともつじつまが合うけど…
ふう…、なにしろ砂垣さんの言ってるように、たくさんの思惑錯綜で読み取り方はいくらでも成り立つよね
基本は各人とも、極力コトを荒立たせないで、より利潤に叶った一歩先を確保したいってことだよね、やっぱりさ
「…まあ、自分で言うのもアレだけど…、俺のポジションはかなり特殊だったんで、意外とネタ元が現れてね。そこでなんだけど…、横田さん、ここではっきり言うよ。その集まった情報の中には、キミの存在が含まれてたんだ」
私はハンマーでたたかれた思いだった
まさに”ガーン”と…
ただショックを受けた感覚が先に来て、私はすぐには誰からとか問い返すところまで気持ちを持って行けなかった
更新日:2019-09-11 15:28:41