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小説

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その5

その5
砂垣


去年の夏、相馬さんの後押しを受けた本郷麻衣は、南玉連合に身を置き、その南玉を切り崩す仕掛けを放った

所詮は麻衣が絵を描いた、いわば自作自演劇なのだが、その時点での俺は否応なく麻衣の手中にあった
で…、その顛末は、俺が南玉に詫びを入れ、墨東会を去るという屈辱的なレールが敷かれていたよ

ところが、そのカラクリを察知した当時の南玉幹部が紅子と連携し、電光石火で対抗手段を講じてきた

その結果、俺の謝罪する相手は、麻衣の手によるものにケガを負わされ、入院中だった横田競子に変更となった

俺は紅子の雇った弁護士立会いのもと、病院で横田に謝罪の申し出を行ってパージの身を甘んじることとなった


...


そして1年後、相馬さんが逝去した機に乗じ、諸星さんは相和会へのけん制を強めていた

南玉を抜けた麻衣と相馬さん亡き後の相和会間では、従来のスタンスは解消してるようだったし、諸星さんが再び俺をガキの前面に押し出すことになってね

だけど、東龍会の意向もあって、諸星さんは俺にガキの付き合いの延長で、2代目を継いだばかりの建田さんが失脚した背景を探る密命も受けていたんだ

そこで浮上してきた中の一人が、横田競子だった

1年前再パージとなった後に、横田が麻衣と対決し、その後南玉に加入して麻衣と両頭態勢を担っていたらしいって程度は耳にしていたが、さほど気にも留めていなかった

なので、今回、相和会のチンピラから横田の名が出て、この子がなぜ?という疑問が強く残っていたよ

そこで、ちょうど星流会からバグジーを納品して、女どもとの最終決着に着手寸前だった俺は、その横田を細心で見定めようと決心、彼女がバイトしてるファミレスに出向いたんだったな


...


そこで見たこの子、まるで純朴の逆瀬太一輪の花だったよ

もう、麻衣なんかと殺し合い間がいな決闘でイーブンに持ち込んだ子にはどうしても見えなかった

そんな彼女を知るにつけ、オレは横田の突きぬけるフェアでピュアな芯が鋼のような強さの源だと確信したよ

ちょうどその同日夜、”エリカちゃん劇場”での麻衣からの直言もあってか、俺は横田をスクラッププール決戦のメインジャッジに起用する奇案を思いついたんだ

ふふ…、結果、彼女の存在によって、あの戦いは排赤・反排赤をひつに結び付けたることができたんだ

そうさ、これから迎え撃つことになるNGなき邪悪な敵に、各勢力がカタマリとなれたのは、横田競子のよってなんだよ

その彼女に、俺はこれから告げねばならない

ある意味、残酷な俺の見解に基づく現状の諸々を…

正直、迷ってるわ、俺…

命がけの恋してるそうだし、この子…

...


俺は大場らが駐車場から去った後、横田を車に乗せ、S町方面へ向かった

「…まず、さっきの”理由”を話さなきゃね」

「その前にこちらからお聞きします。私の家のそばで三島さんと約束してるって、あの場でのアドリブですよね?」

ハハハ…、やっぱりこの子、鋭いや




更新日:2019-09-11 15:21:23