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その3

その3
ケイコ


砂垣さんの言ってること、なんだか重いよ

明らかに一線を越えた連中が、それこそ、一般の中高生の間にまで浸食してくるのかよ!

絶対、ダメだって、そんなの!


...


「私たちの代でも、やれるだけのことはやりましょう。その為の今回の合意ですから。なあ、祥子…」

多美は持ち前の馬力で、この重苦しい空気と戦ってる…

「そうだな。やってやる…!」

バターン!

ここでアイアン・ドアが勢いよく開いた

「ああ、遅くなっちゃってゴメンねー!」

黒原吹子さんがお帰りだ!

うわあ、両手に景品らしき紙袋抱えて、顔が半分見えないよ(苦笑)


...



「奥さん、絶妙のタイミングですねー。こっちも、なんだかんだで長引いて、たった今、区切りがついたとこなんです。あれ…?ひょっとして、外で様子うかがってたとかですか?」

「アホ!私がそんな気の利いた小業、持ち合わせてるかよ。真樹ちゃんが一番知ってるだろうが。そんで…、話はまとまったんだね、あんたら」

岩本さんが意地悪っぽい口調でのツッコミだったが、奥さん、あっさりとさばいちゃった

そんで、歯切れよく私らの話し合いの結果を質した


...



「はい。今報告しますんで…」

「いや、いいわ、聞かなくて。まとまったんなら」

祥子は、思わず”えっ?”って表情で固まっちゃった…

「でも…、一応は…。今後、ウチラを見守ってもらう訳ですから…」

「だからさ、私から一言、言っとくよ。いいかい、もう男も女もない。都民も県民もね。別にケンカしたっていいんだよ、思いっきりぶつかり合えば。ここの地で、誰もがやりたいことを思いに任せてやれる風土、それを大事にね…。それだけだわ、私からは」

「はあ…」(全員)

さすが、大姉御の黒原未亡人だ

ハンパなく豪気だわ(苦笑)

ここで黒原さんはカウンターに座り、私らに向かってね

何か語り掛けようという素振りで、みんなも私もそれを待った


...


「そう言えばさぁ…、紅ちゃんが紅組を結成する前、よくここで盛君と話してたよ…」

奥さんはカウンターチェアの両端を、両の手で撫でるように軽くたたいてる…

「…アメリカで育った彼女、日本に戻ってこの国の女性を目の当たりにしてさ、ほぼ90度で仰け反っちゃたそうよ。それでね…」

おお、いきなりこの話ね!

これ、ホントのコトだよ

同じこと、紅子さんが高1の時に聞いたんだよね…、そん時、ちなみに私は小5(笑)

まあ、90度はオーバーだけど(苦笑)


...



「…世界中の女性の中でも潜在能力はダントツなのに、気が付くとさ、日本人女性は通り一遍の、型にはまった生き方のレールを笑顔で選択しちゃってる。そして、とりあえずの幸せを胸に刻んで、マイライフを穏やかに閉じる…。日本はサラリーマン女子大国だってほめ殺ししてたわ、紅ちゃん…(笑)。何とももったいない、これは国家としても損失だって、嘆いてた」

こういった紅丸語録となると、私、ほぼ全部知ってるんだよな(笑)

「…紅ちゃんは、熱く語ってたなあ…。別に国の法律とかで、ガチガチに制限されてる訳でもないんだから…、とりまく空気次第で化けるよ、日本の若い女はってね、絶対にねって…。でさあ、中高生の女の子にエネルギーをポンと解放させてあげれば、マインド・チェンジはあっと言う間だって…、そう力説してた。ハハハ…、ホントだったわ。紅組起ち上げたら、都県境の女の子は一気に覚醒しちゃって、すぐに南玉連合が赤塗りだもんね」

奥さんの話を聞くみんなの眼は、いつの間にかキラキラと輝いていた


...



「…まあ、ここは女が猛る地ってこともあったのかも知れないけどねえ…。だけどね、紅ちゃんの本心は男も女も国籍もなく、要はやりたいことを自由にやれる…、そんな活力のある風土にってことでさ。女の暴走族が増えることは、本意じゃなかったのよ」

「そうですよね…。それを世間は、あの大女はどんどん少女たちに暴走族を作らせてる。けしからんって…。全くの誤解ですよ!」

アハハ…、多美め

荒子さんの愛弟子だけに、ここんところはビシッと来たぞ

「…だけど、自由な空気が侵されるようなら、戦える力は備えていなきゃならないってことでさ…。”然るべき女”たちは、チームとしての実力武装を怠ってはいけないってのが持論だった。”大事なもの”は、戦って手に入れる気概を忘れるなと…。当然、”守るべき大切なもの”も同意語よ。…って訳で、今後、そういう戦いとなれば、あんたらの出番なんだからね。ふふ…、わかってるか、そんなこと。アハハハ…」

みんなはニヤリとして、各々、黒原さんの主旨をかみ砕いていたようだった

この人も、邪悪の芽が吹いてきてる現状を感じ取っているのかもしれない…




更新日:2019-09-11 14:59:41