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その4

その4


「この不破組に向けた要旨は、我々の友好関係にある横浜隣接のグループを通じ、ウチらのフィールド上で走龍側に通告します。タイミング的には、不破組に届いてからさほど間をおかず‥」

「椎名、それも了解さ。ネタを流すグループの選択は任せる。さあ、ラストボールだが‥」

またも大打の賛同を得た椎名はこっくりと頷き、一呼吸おいた。
そいて、やや前めりになって話しを続けた。

「やはり、最終的に”わかってもらう”には、目に見える形で訴えるプロセスも欠かせない…。”ナンパ”の当事者には、代表してカラダでわかってもらいましょう。他の走龍党に連なる連中には、”そいつ”のビジュアルを以って理解いただく」

「フン…、じゃあ、そのビジュアルとなれば、より訴えるもんがねえと用は足さねえだろうよ。…よし、武次郎にやってもらうか。こっちの存在を水面下でアピールさせる勝負どこだ、念入りにってことになるだろうし」

「フフ…、そういうことなら兄貴、オレがしっかり仕事する!」

武次郎は、思いの他すんなりと兄のノボルの承諾を得て、何ともゴキゲンな笑みを浮かべて宣言した。


...


この夜…。
”NGなきワルたち…、”チーム大打の4人による、当面の行動計画は実にスムーズな運びで決した。

これを境に、東龍会とのドライかつスマートな蜜月関係によって、彼らはその後の土壌を着実に培っていく…。
以降、彼らのホームグランドである横浜周辺では、水面下とは言え、いよいよ拡大路線に舵を切って、アクティブな仕掛けを次々と放っていった。
しかしその手法は、あくまで地元界隈にその影を見せながらも、表面上の主張は敢えて暗に伏せるという、捻りの効いた戦略であった。

他方、東京埼玉都県境に進駐を再開した大打グループの戦略方針は、極めて受動的スタンスに収まったのだが…。
確実に地盤を固めるチーム大打に、次の転換が訪れるのは、それからさらに数年後となる…。




更新日:2019-09-10 19:45:15

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