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その1

その1


東龍会幹部の折本と会った3日後、横浜で構えたばかりのチーム大打新事務所では、ハマのモブスターズ4人が顔を揃えていた。

「…じゃあ、オレは来週の火曜”あっち”へ戻り、御手洗と合流する。何しろ、黒原死後の再編成はまだこれからだし、当分は何かと騒がしいだろう。相和会の方も東龍会共々注視の上、情報共有を継続する。だが、オレのスタンスは前と原則一緒だ。あくまでも、仕事人のネタが入ればオレが直に会ってくる。で、使えるとなればスカウトって行動スタンスを軸にする」

テーブルを囲んで胡坐をかいている3人は、ここで同時に頷いた。

「東京埼玉都県境でのオレ達の立ち位置も従前と基本変わらないが、今後はお前ら3人も交代で入ってもらいたい。まずは武次郎にあっちへ着いてもらいたいところだが、東龍会としては、然るべき時期のパートナーシップを視野に入れ、なんといっても本拠の横浜は勢力地盤を広げるようにとの意向だ。この方針はオレたちもすでに固めていたし、やはり当面は武次郎にココを仕切ってもらうのが無難だと思うが、みんなはどうかな?」

ノボルの問いかけに、まずは椎名が発言した。


...


「ノボルさんの考え通りでいいと思う。我々の本拠地横浜の顔は武次郎で通した方が、今後、中長期では何かと好都合だと思うし」

残りの二人もこれに同様の意見だった。

「よし、武次郎は原則ハマだ。都県境のあっちには、タカハシも上京の都度、短期でいいから顔を出してくれ。椎名はオレの不在時を含め、極力マメに出向いてく。これでいきたい」

「了解」

3人は同意した。

「それでだ…、ハマの拡張路線となる。具体的にどう切り込んでいくかだが、折本さんからは、目立たず徐々にってことだ。オレとしてもそれが正解だと考える」

この点に関しても、3人に異論はなかった。
ただし厳密には、大打武次郎は一気に突っ走りたいと言うのが本音のようだった。


...


そこを見越していたノボルは、武次郎に顔を向けて切りだした。

「前にも触れたが、まずもって武次郎には早った行動は自重してもらう。いいな、武次郎?」

「ああ…。だがよう、結局は勢力を伸ばすってんだから、何かと慎重になりすぎてたんではしょうもねえよ。サジ加減はある程度定めておきたい。オレとしてはな…」

「そこは、武次郎と一緒に地元に足が着いている椎名に聞こう。武次郎と納得できる提案は用意してるだろうしな(笑)」

ー一同低い笑い声ー

そして、少しの間をおいてから椎名が口を開いた。





更新日:2019-09-10 18:59:23

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