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その3

その3


「…しかも、すでに諸星さんはその予備実験で、予想されるリアクションを確かめています」

「タカハシ!それって、黒原が他界したあとの、指チョンの件を言ってるのか?」

ノボルのハイテンションにもタカハシの口調は変わらなかった。

「ええ、そうですよ。おそらくあの流れになることを予測してた諸星さんは、今後のことを踏まえて、捨て駒の愚連隊を差し出したんでしょう。相和会は、それを業界のセオリーに従って処置を断行した」

”ここのあたりのくだりは、概ね聞いていたことだ。諸星さんの使う愚連隊のポジションなら、相和会としては、やくざ世界のルールを適用する…、といったサインって理解してるが…”


...


「…他方で、相馬さんは諸星さんがよりシロート色のガキを抱えて新たなスキームを作る構想は承知してた立場として、その場に引きこんだガキに遣いをさせてます。それは、今度はそいつら取りこんでやってみなよというメッセージと見ていい」

「うん…、東龍会もそういった暗黙は相馬ー諸星間で交わされたと見ていたな。でもよう…、そうだとして、その後チョイスされた砂垣と愚連隊で、どこがどう大きく違ってくるんだろって疑問はあるぜ」

「ふふ‥、ノボルさん、ここでカギになるのが、諸星さん自身ですよ」

「はあ…?」

思わずノボルは首を大きくひねった。


...


すると、ここでやっとタカハシが若干の笑みをこぼした。

「星流会の諸星会長は、先ほどアンタが言った通り、これまでも散々、ガキを立てて相和会にちょっかいを出し続けてきた。で、いつも追い返される。これをずっと繰り返してきた訳だが、諸星さん自身にはなんら報復をしていない」

「おお、それはそうだな」

「…相馬さんの”そのなぜ”だかは諸説絶えないらしいが、事実としてのメッセージは明らかでしょう。トータルで見て、諸星さんにはいてもらった方が好都合だということですよ。その好都合は複数でしょうが、その中にはたぶん、諸星スキーム構築を望んでることも含まれると、オレは見てます」

「じゃあよう…、相馬さんは、将来的にガキを使った新たなシノギのマーケット樹立には賛成だったってのか?」

ノボルはタカハシに喰いつかんばかりだった。
それは、異色のカリスマ親分・相馬豹一への、興味を駆り立てて止まない子供のようでもあった。





更新日:2019-09-10 03:35:51

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