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その7
その7
ケイコ
「なんかさ、メシ時に湿っぽい話しちゃったよな。勘弁な。お前には、今日、どうしても話しておきたかったんだ」
「気にしないで、テツヤ」
私はさっきの話聞いて、気が付いた
テツヤのことを誤解してたと…
いや、ぜんぜんわかっていなかったよ、私
その後は二人とも普通に会話し、”午後の部”に入った
うん?なんか、かかったかな…
「あのさ…、テツヤ、なんか引っ張ってるんだけど…」
私がそう言うと、隣のテツヤが自分の釣竿を置いて、こっちに来てくれた
「おけい、しっかり握ってろな。今、引き寄せるから…」
テツヤは立ち上がった私の左となりで、私の竿に両手を添えた
二人の体が触れてる…、それに一方の手が重なってる
テツヤが「よし、引き上げるぞ、それ!」と声を上げると、私は力加減を合わせて一気に釣り上げた
「わー、釣れた!テツヤー!」
どうやら、これもフナみたいだ
「あれ?午前中、俺が釣ったのよりちょっと大きいかな」
はは、私、すごいじゃん…
...
何とか一匹釣れたこともあって、その後はなんか急にリラックスしちゃって…
二人ともね
もう、べちゃくちゃ軽いノリでギャハハハって…
魚、逃げちゃうわ、これじゃ
そして…、タイミングを見計らい、私はテツヤに”例の件”を相談してみた
文字通り、単刀直入で話した
テツヤはいつも、即座に答えてくれる
で、今日も考えてる様子もないくらい、反応が早かった
まあ、考えていない訳ないけど(笑)
「お前はさ、誰からも一目置かれる人間なんだよ、要はさ。だから、今回のオファーは必然性、大ありだわ、ハハ…」
「あのな、私は悩んでるんだよ。分析はいいから、実際どうすればいいか、私がさ…。それ、テツヤどう思うのか、意見聞きたいんだ、お前のさ」
「うん。今の南玉にはさ、お前みたいな人間、必要なんだろうな。夏美さんが部の先輩って立場も重々承知で、その上でだろ。矢吹先輩も、お前には感心してた。だがよう、お前のことが大事なオレからしたらよう、お前、苦労すんぞ。やめといたほうがいい。これがオレの意見ね」
「そうか…。テツヤ、ありがとう。率直な意見をさ」
「でもさ、お前、南玉のこと、外部からでもちょっとは気になってるんじゃんないのか?」
「あ、ああ…。そういうことはあるかな…」
「結局はさ、お前のイエス、ノーだよ。だからよう、今やりたいこと優先でいいんじゃねえか?お前、夏の大会、滝が丘の中距離で出るんだろう?」
「え?いや、私1年だし、2年の先輩いるから、この夏はどうかな…」
「いや、この前の選抜駅伝であの走りとリーダーシップなら、先輩落としてもお前って流れだろ」
「テツヤ…、私、目の前で損とか得とか、そんなの嫌なんだ。ただ、今は中距離で、できるだけはやりたいんだよ。別に先輩押しのけるとか、そういう考えはないよ」
「ああ、わかってる、わかってる。だからさ、それでいいと思うよ。仮に南玉ってことでも、それはいつでもOKだろうし。お前なら、いつでも赤いジュータン敷かれるって」
「じゃあ、今は自分の気持ちでいいんだよな?」
「当たり前じゃん。今はさ、お前の気持ちのままでやれよ。夏美さんとかだって、納得してくれるさ。無理すんな。オレが一番言いたいのはそれだ」
テツヤ、とにかく、お前のピュアでフェアなバランス感覚、素敵だよ…
ケイコ
「なんかさ、メシ時に湿っぽい話しちゃったよな。勘弁な。お前には、今日、どうしても話しておきたかったんだ」
「気にしないで、テツヤ」
私はさっきの話聞いて、気が付いた
テツヤのことを誤解してたと…
いや、ぜんぜんわかっていなかったよ、私
その後は二人とも普通に会話し、”午後の部”に入った
うん?なんか、かかったかな…
「あのさ…、テツヤ、なんか引っ張ってるんだけど…」
私がそう言うと、隣のテツヤが自分の釣竿を置いて、こっちに来てくれた
「おけい、しっかり握ってろな。今、引き寄せるから…」
テツヤは立ち上がった私の左となりで、私の竿に両手を添えた
二人の体が触れてる…、それに一方の手が重なってる
テツヤが「よし、引き上げるぞ、それ!」と声を上げると、私は力加減を合わせて一気に釣り上げた
「わー、釣れた!テツヤー!」
どうやら、これもフナみたいだ
「あれ?午前中、俺が釣ったのよりちょっと大きいかな」
はは、私、すごいじゃん…
...
何とか一匹釣れたこともあって、その後はなんか急にリラックスしちゃって…
二人ともね
もう、べちゃくちゃ軽いノリでギャハハハって…
魚、逃げちゃうわ、これじゃ
そして…、タイミングを見計らい、私はテツヤに”例の件”を相談してみた
文字通り、単刀直入で話した
テツヤはいつも、即座に答えてくれる
で、今日も考えてる様子もないくらい、反応が早かった
まあ、考えていない訳ないけど(笑)
「お前はさ、誰からも一目置かれる人間なんだよ、要はさ。だから、今回のオファーは必然性、大ありだわ、ハハ…」
「あのな、私は悩んでるんだよ。分析はいいから、実際どうすればいいか、私がさ…。それ、テツヤどう思うのか、意見聞きたいんだ、お前のさ」
「うん。今の南玉にはさ、お前みたいな人間、必要なんだろうな。夏美さんが部の先輩って立場も重々承知で、その上でだろ。矢吹先輩も、お前には感心してた。だがよう、お前のことが大事なオレからしたらよう、お前、苦労すんぞ。やめといたほうがいい。これがオレの意見ね」
「そうか…。テツヤ、ありがとう。率直な意見をさ」
「でもさ、お前、南玉のこと、外部からでもちょっとは気になってるんじゃんないのか?」
「あ、ああ…。そういうことはあるかな…」
「結局はさ、お前のイエス、ノーだよ。だからよう、今やりたいこと優先でいいんじゃねえか?お前、夏の大会、滝が丘の中距離で出るんだろう?」
「え?いや、私1年だし、2年の先輩いるから、この夏はどうかな…」
「いや、この前の選抜駅伝であの走りとリーダーシップなら、先輩落としてもお前って流れだろ」
「テツヤ…、私、目の前で損とか得とか、そんなの嫌なんだ。ただ、今は中距離で、できるだけはやりたいんだよ。別に先輩押しのけるとか、そういう考えはないよ」
「ああ、わかってる、わかってる。だからさ、それでいいと思うよ。仮に南玉ってことでも、それはいつでもOKだろうし。お前なら、いつでも赤いジュータン敷かれるって」
「じゃあ、今は自分の気持ちでいいんだよな?」
「当たり前じゃん。今はさ、お前の気持ちのままでやれよ。夏美さんとかだって、納得してくれるさ。無理すんな。オレが一番言いたいのはそれだ」
テツヤ、とにかく、お前のピュアでフェアなバランス感覚、素敵だよ…
更新日:2019-09-05 23:25:10