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壮絶へのカウントダウン

その1
剣崎



「オヤジさん…、確かゴングが鳴るのは7時半でしたよね?なんか、向こうサイドは今のところ女の子2人だけみたいですが…」

「ああ、そうみたいだな。何でも麻衣は、敵の主戦派を排除する戦略に出たらしいからな。もしかすると、向こうの試合放棄になるかもしれない」

全く麻衣の戦略、戦術には驚くばかりだ

昨日と今日の畳みかけは、もう相手からしたら、知らぬ間に防戦一方の状態に陥ったってところだろう

今、麻衣にとって相手方の核である南玉連合は、自滅の淵に追い込まれているはずだ

...


「でも、倉橋の親分と勝田は今日”仕事”だってのに、自分だけここで見物ってのも、気が引けますわ」

ハハハ…

確かに、倉橋は墨東会の進撃を妨げるために相和会を動かしていたし、勝田は南玉のトップを連れ去る役目だったからな…

ちなみに倉橋は、この後もひと仕事控えてるんだった(苦笑)

”これ”なども、麻衣の読みの深さを物語るにふさわしい手回しだ

フフフ…、文字通り麻衣は女子高生でありながら、やくざの相和会もものの見事に使い切っているって訳だ(笑)

それに加えてヤツの場合、それがただやみくもではないというところがミソだ

何しろ適所を見定めて、言わば最低限を踏まえながらも、必要な局面では、こっちの腰が引けるような際どい起用も大胆に決断する

昨日のサツを引き付ける自作自演劇など、路上でのやくざ同士による発砲騒ぎという仰天計画を会長に承諾させ、それを倉橋との”共同作業”で完遂しやがったわ

さすがの相馬会長も唸っていたしな





更新日:2019-08-26 14:38:53

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