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その2

その2
真樹子



「ふふ…、まあ、そうなんだけど、ここに来て、プラスアルファで木戸ちゃんを絡ませられたわ。ねえ、真樹子さん」

はは…、ここで麻衣さん、私に振ってくれたわ

「そうそう…。あのね、久美。相川は木戸が本当のところは、私たちの”一味”でないと見切ったようなの。麻衣さんの見立てではね。でね、木戸は既に麻衣さんから用済みの存在だと。つまり、マークが外れた訳。祥子とドッグスとのつながりはあるにしても、麻衣さんがああいう去り方をしたら、さすがにもう接触は控えるだろって見るわよね」

「そりゃそうだよ、久美。木戸ちゃん、相川と大御所のOB・OGがいなくなっちゃって、あの人が唯一のOGだ。喜んでるって。そんな木戸の心根、相川は一番知ってる。だから、いずれドッグス絡みのゴタゴタが生じたときは、木戸をまとめて排除できると見込んでるかもね。で、当分は南玉内で泳がしておこうとね。そこを私は逆利用よ」

ハハハ、ここでまた久美は目をぱちくりさせて驚いてる…

でも、すぐ気付いたようだ

だいぶ頭の回転が備わってきたみたいだわ、この妹も(笑)


...


「わかった!麻衣直ではなく、キャビネットと通じて、木戸さんをまた利用したんだね。木戸さんは麻衣から用済みになったという相川さんの判断の先を呼んだってことか…」

「しかも、木戸ちゃんの接触する相手は、れっきとした南玉のOBだよ。そのOBから、南玉の新機軸に移行できる道筋を提案されたらあの人、まともに受け入れちゃったわ。”これで私が危機に陥った南玉を救った功労者になれる!”って、心を躍らせてるわね、今頃(笑)」

「うふふ…。ところが、そのOBは三田村さんの放った人物…」

「ああ、今回、土佐原OBと甲斐由美子OGを失脚させた仕掛け人の一人ですよね」

久美の頭の中は、点と点がかなり結びついてきたようね


...



ここで麻衣さんは私ににやりと笑って、それから久美の方を向いて、ゆっくりと話したわ

「今頃…、相川はさ、OB・OGの内紛騒動を陰で仕掛けたのが三田村さんだって気づいてると思うんだ。たぶん、土佐原先輩が相川には推測の範囲ってことで、三田村峰子とのラインで種を蒔かれたと伝えられてるよ。すなわち、私が画策したと解釈してる」

アハハハ…、そうね、あの相川、さぞ仰天したでしょうね

”まさか社会人の大先輩までターゲットにするなんて、信じられないわ!”っとかって、歯ぎしりしてるよ、アイツ(爆笑)

名策士の相川さんよ、その”某OB”がまたひと仕事してくれてるのよ

アンタの読みを更に読んだ麻衣さんに、また驚かされることになるわね

アンタがマークを外した犬猿の木戸が、南玉に引導を渡してくれるからさ

楽しみにね

アハハハ…!!




更新日:2019-08-24 23:29:59

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