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その9

その9
祥子



昨夜の会議で、一部流動用件はあるがタイムスケジュールは設定された

いよいよ本チャンの戦いがはじまるわ

とっ始めの出番はドッグスになる

さっそく私も行動開始ってことで、これから木戸真澄と会う…

...


「ああ、津波さん、悪いわね。学校まで来てもらっちゃって」

「いえ…、まあ、後ろどうぞ」

夕方、私は木戸さんの通う高校までバイクで迎えに行き、そのまま後ろに乗せてジャッカルワンに向かった

...


今日会うことになったのは、木戸さんの方が私に声をかけてきてね

まあ、今後のことをいろいろということだが…

実は木戸真澄が私に連絡してくることは事前に承知していた

言わば予定通りというとこだった

...


「まあ、ジンジャーでもどうぞ」

「ああ、ありがとう。…そんで、さっそくだけど、いいかい?」

「ええ、始めましょう」

「本郷がさあ、まずはアンタと会って話しをしてくれってことでさ。さすがに私も、ああいった形で南玉を出て行った人間とはそうそう接触できないからね。そこんとこを、さすがに本郷は汲んでるようだわ」

「はあ…」

今回のオペレーションに木戸は加わっていない

麻衣に言わせると、その理由はこの人の節操のなさを懸念してのことらしい

まあ、南玉連合のOGでありながら、OB・OG連を吹っ飛ばすことも平気なんだから、麻衣の言ってることには頷けるが…

どうやらこの人、組織内でいがみ合っていたライバルの相川さんを追放できて、結果的にOGの頂点に立ったことで、南玉が多大なダメージを受けても、かえって喜んでるだろうってのが麻衣の見立てだ


...


「…それでね、今後はってことで、三田村さんが発信元の情報入手ルートをよこしてきたから、アンタとは何かとさ、うまくやりましょうよ」

「はい…、ひとつよろしくお願いします」

ここで、左隣に座っている木戸さん、顔を近づけてきたぞ

はは…、結構ケバイやこの人も


...


「いきなりだけど、速報よ」

おお、初っ端から麻衣の言っていた通りの反応だわ

いやあ…、わかりやすい人だなあ、木戸さんは(苦笑)

「なんすか?」

うーん、すっとぼけるのも疲れるわ

やっぱり向いてないよ、こういう工作ごとは


...


「まだ表だってないけど、レディース・キャビネットが樹立されたらしいんだわ」

「レディース・キャビネット…?」

「そう。他県勢力と歩調を合わせ、紅組と南玉連合以外の女性勢力勢力を将来的に結集する受け皿ってとこでしょ」

「ほう…」

「今のところ、ダイレクトな結集ではなく、レディース・キャビネットの傘の元、それぞれ独立して系列下に並んで、意思疎通の下地を敷くとかってニュアンスみたいね。で…、もう岩本のグループとその息のかかった弱小チームとかフリーやらが顔を連ねて、紅組離脱メンバーも近々って噂がたってる」

わー!

早くも麻衣の誘導にズッポリだ、この人…




更新日:2019-08-24 22:26:35

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