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その8

その8
ケイコ



「これは何と言っても、目にもとまらぬスピードやらなきゃ意味ないぞ。1秒間に2打の間隔だ。それも絶えず動き回って、まあ、相手をかく乱させることだ。敵が慌てふためいて木刀をよければ、人と人の間に隙間が空く。そこを逃がさず、一気に前方へ突入し、また向かってきた連中を同じ要領で左右どちらかに振って、木刀の叩きつけ乱打で”穴”を作り、本郷麻衣の正面に来たら、まずはゴールだわな」

「うーん、戦術は十分理解したけど、私にできるかなあ…。その場にはケンか慣れした連中ばかりが揃ってるだろうし…」

「お前ならできるさ。そのデカい声と俊足があるんだ。加えて気合と根性は筋金入りだしな。何より大切なのは勢いとスピード、特に瞬間的な移動の速さを心がけるんだ。ポイントは相手に考える隙を与えないこと!」

「はい!」

私は思わず姿勢を正して大きな声で返事しちゃったよ(苦笑)

「ハハハ…、じゃあ次だわ、おけい。本郷の目の前に立てたら、後ろから追ってくる連中を振り返って、一度威嚇しろ。「テメーら、ひっこんでろ!」とかって怒鳴って、木刀を2、3回連中の足元に向かって振り下ろす。で…、すぐに本郷に振り返り直し、サシの勝負に引っ張り出す挑発トークをかませばいい。これは、オレのレクチャーなんか必要ないべ。おけい、その手の口にかけちゃ名人級だもんな、はは…」

「まあね…」

私がそう答えると、テツヤはケラケラ笑ってたよ


...


「テツヤ、もし、今のシュミレーション踏めれば、本郷は私の挑戦受けると思うんだ。ヤツ、私を目のカタキにしてる。それって、私と正面から戦っての決着を望んでるって感じに伝わるんだよね。だからさ…」

「そうか…。そしたら、いよいよ、タイマンの戦い方だな…」

「うん、テツヤ、私でも絶対勝てる戦法を頼むよ」

「その為には、相手である本郷の出方とか戦い方とか、ある程度知らないとな…」

「時間がないからさ、明日にでも多美からヤツのことでいろいろ聞いてくるから。それで対応してよ、テツヤ」

「わかった。なら、まずはそれで戦い方練るか…」

テツヤには明日の夜、私の家に来てもらって今日の続きを指南してもらうこととなった





更新日:2019-08-24 22:23:24

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