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続トリプル・クーデター

続トリプル・クーデター/その1
夏美



「2点目は、ドッグスの内部分裂よ。もっとも、これはヤラセ。ヤツらの自作自演だと私には思える」

「内部分裂って…。北田一人が本郷の後を追ったってことに過ぎないんじゃないんですかね?私には、その程度に見えますが…」

「北田が他のみんなへ訴えた”アレ”…、ちょっとオーバーだったと思わない?これ、その場に居合わせる連中へのパフォーマンスだとしたら…」

「えー!仮に、パフォーマンスだとして、目的って何になるんですか?後輩からの話じゃ、前々から本郷から別格扱いされてた北田の態度はメンバーの反感を買ってて、ここんとこはもっぱら新加入の津波側へ人が寄って行ってたらしいですよ。当然、北田は面白くない。それが今日、露呈したってことじゃないのかなあ…」

「そういう既成事実があれば、なおさらリアル感が伴うわ。それを逆手にとって南玉の人間を惑わせられれば、本郷側の人間を居座らすことができる…。ヤツにはその読みがあったと見てるわ」

「ふう…。本郷のやることときたら、私なんかじゃ見当もつかないわ。もううんざりって感じなんっすが、3つ目ってのは先輩の排除ですね?」

「うん。ただし、これのターゲットは私ではないわね」

...


「はあ…?いや、だって…、本郷は先輩を以前から特別敵視していたし、自分の排除を主導した先輩と刺し違えてって解釈になりますよ。私らからしたら」

「あそこでの真のターゲットは、南玉のOB・OGよ。本郷はこれから南玉と本格的に構える際、土佐原先輩を軸としたOB・OG連の影響力を脅威と捉えていたはずだわ。今日で事実上、従来からの南玉連合後見役としての機能は瓦解したよ。これは荒子体制の南玉にとっては、極めて大きな打撃を受けたことになる…」

「じゃあ、連日の幹部会は本郷の思うまま、完全勝利ってことになるんですか!」

「そうはさせない、その為の方策を練って行かなきゃね。でも、ここは正確に現状を見定めないと。いい、あっこ…。今の3つ合わせると、これはね、正統南玉連合へのクーデーター的な役割が生じるのよ。厳密にはその芽かな。…この場合、そっくり体制をひっくり返すって意味のクーデターではなく、内部瓦解の軌道に乗せたってこと。今日、やっと気づいたわ。本郷は当面、”現在の”南玉を消滅させる腹よ。ただ、それとは別に荒子との対決は考えてる…」

あっこの表情はもう、気絶しそうなくらいげんなりしていたわ





更新日:2019-08-24 13:20:49

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