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その2

その2
バグジー



どうやら1分を超えたようだな…

左と利き腕の右ではスパンは変わりなくとも、握力では格段の開きがある

効き目はさほど期待できないが、右腕がかなりやられたんで、ダメージ回復の時間を稼いでやる

俺は下半身をピタッと津波におっかぶせながら、体重を下半身に集中し、密着させた

1分ちょっと過ぎたところで、左だとさすがに力がダウンしてきた

そこを津波は逃さなかった


...



力が緩むのを待っていたかのように、ほんのわずかのタイミングで、津波は首から上を一気に起こし、その勢いにまかせて私の首元へ右のひじ打ちをぶち込んできたよ

サポーターが巻かれた右ひじの一打は強烈だった

私は仰け反るように、やや右後方へ倒れた

来るぞ!

津波が体力をまだそれほど消耗させていないことは、こちらが攻めている時の息使いで分かっていた

すぐに攻撃に入ってくる…

瞬間的にそう判断した私は、即、両ひざを着きながらも前傾態勢を取り、向かってくる津波を身構えていた

だが、津波の次の一撃は、そんな私の思惑を読み込んだかのように、正面からキックを打ち込むモーションを起こした後、私の右横へ回り込み、後方へ反転させた後ろ回し蹴りというフェイント技だった


...



津波の右足は私の後頭部へめり込んだ

当たったのはふくらはぎ部分だったが、遠心力がかかり、頭がクラッと来て、一瞬平衡感覚を失った

津波は、そこで一気呵成に攻め込んできた

「おらー、いくぞー!おらー!」

片膝をついた私に左右のローキック、膝打ちが雨嵐のように私の体に打ち込まれたきた

そして右側頭部へキックを喰らったあと、私はダウンした…

こいつ、ホントに女なのか…!

うつ伏せで地面に伏し、頬に冷たい砂の感覚が滲んだところで、そう心に呟いていたよ





更新日:2019-08-23 00:44:00

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