- 5 / 6 ページ
その5
その5
アキラ
オレと麻衣は、お互いの膝が触れるくらいの距離で、にらめっこするような態勢だった
目の前の麻衣はすっぴんだが、いつもながら威圧感は凄い
年下なのに、コイツを前にすると、どうも萎縮してしまう
「…”お前の部屋”の時、決着ついてるはずなんだが、改めてはっきりさせたいんだ。オレとケイコちゃんは、今後、お前とは一切無関係だ。お互い、何があろうとも…」
「…」
オレは麻衣の鋭い目を見つめながら、まずはこっちの意向をはっきりと告げ、一気に続けた
「…お前とは二度と接触はしないし、オレたち二人から、お前の存在をなくす。で…、お前とはこれで終わりだ。お前には、この場でそれ、了解してもらいたい」
麻衣は表情一つ変えずに聞いていた
そして、少し間をおいてから口を開いた
「あなたたち二人の”これから”を邪魔するつもりなんて、私には毛頭ないわ。言ったと思うけど、”あの時”の監禁はあくまで、あなたを試させてもらっただけだし。私があなた達と、この後もああだこうだとかは無いわよ」
麻衣の反応は、あっさりしたものだった
...
「じゃあ、了解でいいな」
「いいわよ。ただし、私が何しようと、勝手よ。それは分かってるわね?」
「ああ、お前がこれから何しようと勝手だ。オレとケイコちゃんは、それでお前がどうなろうと、知ったことじゃない。いいんだろ?それで」
オレはこれでもかってくらい、麻衣を突き放すような口調で、さらに念を押した
「ええ、そうね。フフ、これで安心したって顔してるわね、アキラ」
「当然だろうが!オレたちはお前が仕掛けたことで、散々苦しんだんだ。オレ達がとばっちり受けなきゃ、何でもやってくれ。もう知ったことじゃない。そういう事だ」
ここで麻衣は一度うつむいて、また顔を上げた
これ…、麻衣の独特の仕草だ
いつもドキっとすることを口にする前によく見せる、例の間合いだ
思わず条件反射的に、嫌な予感がオレの頭をよぎった
...
「アキラ…、ひとつだけ言っとくわ。あなた達から私の存在を消すってのね…、それは無理よ。残念だけど」
表情も口調も穏やかだったが、どこか確信を持った言葉に感じた
「それ、どういう意味だよ!」
「うーん、言葉じゃうまく言えないけど、近いうちわかると思う。私の言ってる意味、”ああこういうことだったのか”って…」
「…」
オレの胸中は一気に曇った
麻衣は、こういう言い回しで、相手の深いところを一突きだ…
そこで相手が動揺を示せば、それ、攻めどころとして見逃さない
その後は、矢継ぎ早に手のひらに乗せちゃう
この言わば”瞬間芸”が、コイツの怖ろしいところなんだ
オレは条件反射的に、背筋を凍らせていた…
アキラ
オレと麻衣は、お互いの膝が触れるくらいの距離で、にらめっこするような態勢だった
目の前の麻衣はすっぴんだが、いつもながら威圧感は凄い
年下なのに、コイツを前にすると、どうも萎縮してしまう
「…”お前の部屋”の時、決着ついてるはずなんだが、改めてはっきりさせたいんだ。オレとケイコちゃんは、今後、お前とは一切無関係だ。お互い、何があろうとも…」
「…」
オレは麻衣の鋭い目を見つめながら、まずはこっちの意向をはっきりと告げ、一気に続けた
「…お前とは二度と接触はしないし、オレたち二人から、お前の存在をなくす。で…、お前とはこれで終わりだ。お前には、この場でそれ、了解してもらいたい」
麻衣は表情一つ変えずに聞いていた
そして、少し間をおいてから口を開いた
「あなたたち二人の”これから”を邪魔するつもりなんて、私には毛頭ないわ。言ったと思うけど、”あの時”の監禁はあくまで、あなたを試させてもらっただけだし。私があなた達と、この後もああだこうだとかは無いわよ」
麻衣の反応は、あっさりしたものだった
...
「じゃあ、了解でいいな」
「いいわよ。ただし、私が何しようと、勝手よ。それは分かってるわね?」
「ああ、お前がこれから何しようと勝手だ。オレとケイコちゃんは、それでお前がどうなろうと、知ったことじゃない。いいんだろ?それで」
オレはこれでもかってくらい、麻衣を突き放すような口調で、さらに念を押した
「ええ、そうね。フフ、これで安心したって顔してるわね、アキラ」
「当然だろうが!オレたちはお前が仕掛けたことで、散々苦しんだんだ。オレ達がとばっちり受けなきゃ、何でもやってくれ。もう知ったことじゃない。そういう事だ」
ここで麻衣は一度うつむいて、また顔を上げた
これ…、麻衣の独特の仕草だ
いつもドキっとすることを口にする前によく見せる、例の間合いだ
思わず条件反射的に、嫌な予感がオレの頭をよぎった
...
「アキラ…、ひとつだけ言っとくわ。あなた達から私の存在を消すってのね…、それは無理よ。残念だけど」
表情も口調も穏やかだったが、どこか確信を持った言葉に感じた
「それ、どういう意味だよ!」
「うーん、言葉じゃうまく言えないけど、近いうちわかると思う。私の言ってる意味、”ああこういうことだったのか”って…」
「…」
オレの胸中は一気に曇った
麻衣は、こういう言い回しで、相手の深いところを一突きだ…
そこで相手が動揺を示せば、それ、攻めどころとして見逃さない
その後は、矢継ぎ早に手のひらに乗せちゃう
この言わば”瞬間芸”が、コイツの怖ろしいところなんだ
オレは条件反射的に、背筋を凍らせていた…
更新日:2019-08-21 21:52:46