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その4

その4
夏美



真澄の話には、まさにその通りといった感じで、執行部3人も盛んに頷いている

「そこで、我々はどうするかよね。今回、3県の代表と会って、南玉連合に対する、向こうの望むところを聞いたんだけど…。すでに県外後続各グループが波沢さんを通じて、赤隊一派の趣旨に賛同し、連携の体制に入ったわ。私の感触では、この連携は固いものがある。切り崩しは難しいわよ。あのね、波沢さんを岩本に引合せたのは、故黒原盛浩さんの奥さんらしいのよ」

私は愕然とした

こともあろうに、あの黒原さんの未亡人が仲立ちなんて…


...



「要は波沢さんと南玉が、今後の関係修復を詰めて欲しいことなのよ。一応、私は波沢さんとの仲立ちを頼んだわ。でもね、波沢さんはまず岩本との関係を改善してから、南玉と話し合うって姿勢を崩していないってことで、突っぱねられたわ。一応、私の報告することは以上になるわ」

「…」

私と執行部の3人はすぐに言葉が出なかった

真澄は相変わらず穏やかな表情で、お茶を口にしてるわ


...


「真澄…、あなたの指摘はおっしゃる通りだと思う。対外面を軽く見ていた。私も深く反省するわ。荒子にも申し訳ないと思う。あの、それでさ、その3県と会う取り持ちはどんな筋なのか、良かったら教えてくれないかな」

私は思い切って、切り込んでみた

真澄の反応はどうだ…

「ああ、その件ね、言うつもりでいたのに、うっかりしてゴメンなさい。本郷麻衣よ。ドッグスの…」

なんと、真澄の奴、あっさりと”正直”に話してくれちゃったよ…

しかもその口調はいかにもさらっとだったので、ある意味衝撃を受けたわ

私はチラッと鷹美の顔を見た

彼女もあっけにとられているようだった

果たして真澄の腹は一体…

...


昨夜、ミキさんに鷹美との話を報告したのだが…

「そう…、あなた達も感じてるのね。これ、間違いなく三田村さんの手が加えられてるわ。ここ数日、まるで南玉連合の執行部会に合わせかのようよ。ここにきて、フリーの人間が赤隊系へ殺到してる…、そんな空気に持っていかれてるように思えてならないわ」

「要するに、県外の後続各グループが、荒子の南玉から離れ、赤隊に乗っかった動きが、都県境の勢力図に変化をもたらしたというイメージ操作ですね」

「そんなとこよ。否応なく、南玉の人間は危機感を強めるわ。あなたが言った通りに木戸真澄が出てくれば、その危機感から木戸を後押しする流れにつながるでしょうね」

「はい。まあ、なにしろ、明日の真澄次第です。結果はお知らせしますので…」

しかし、今日の真澄の初っ端は、ミキさんと私のこの想定は完全に肩透かしだ

真澄の狙いは一体、どこに向けられているんだろう…


...



「実は私、本郷とは以前からいろいろ接していてね。向こうも、何故か私には気さくに話してくれるもんだからさ。問題児だけど、人脈というか、独特のルートは凄いもんがあるわ。今回もいち早く、赤隊と波沢さんに連携合意が交わされた情報を教えてくれたわ」

やはり情報元は本郷麻衣か

本郷、岩本ラインはかなり強いものがあるんだろう

「…まずは執行部に伝えるのが順序だとは思ったんだけど、各県側はフリーなポジションの人間とね、初めに接触したいとの意向だったらしいのよ。それで、取り急ぎね…。軽率な行動ってことで責任を問われれば、従うわ」

ここで真澄の目がきらっと光ったのを、私は見逃さなかった

なるほど、ここで自分から麻衣との蜜月関係をおおっぴらに認められたら、こっちもこの局面ではあまり厳格な責任追及はしづらいよ

ふう‥したたかな計算だ

これは真澄と言うより、麻衣の読みによるものだと思うが…



更新日:2019-08-21 18:15:33